ローズマリー成分が新型コロナの感染や重症化を抑制か 東京工科大らの研究
2022年1月17日 11:29
新型コロナウイルスに対するワクチンや薬の開発が進んでいる一方で、ウイルス自身も変異していっている。東京工科大学の研究グループは、ローズマリーの精油成分に含まれるカルノシン酸が、ウイルスの変異に関係なく新型コロナウイルスの感染と重症化を抑制できる可能性があることを発見したと発表。そのメカニズムも明らかにした。
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今回の研究は、東京工科大学の佐藤拓己教授らの研究グループが、米国スクリプス研究所のスチュアート・リプトン教授らと共同で行なったもの。その成果は、6日のAntioxidantsオンライン版に掲載された。
ローズマリーは古くから利用されているハーブの一種で、料理の香り付けや魚・肉料理の臭みとりに使われてきた。薬草名は迷迭香といい、痛み止めや健胃、アンチエイジングなど、ヨーロッパや中国で古くから使われている植物だ。その精油に含まれている物質であるカルシノン酸が、リウマチの炎症を抑える作用を持っていることは以前から知られていた。
研究グループはカルシノン酸が、新型コロナウイルスが感染する時の足がかりとなる、ACE受容体に結合することを明らかにした。つまりカルシノン酸は、ウイルスが感染することを邪魔してくれるというわけだ。培養細胞に対する新型コロナウイスの感染性を調べたところ、カルシノン酸を一緒に入れた時に感染をしにくくなったというデータが示されている。
また、新型コロナウイルス感染症で恐ろしいことの1つは重症化である。重症化は、サイトカインストームという、通常は外敵から体を守ってくれているはずの免疫系(サイトカイン)が暴走してしまうことで、体のいたるところ炎症が起こってしまうことが原因の1つだ。この炎症の引き金となるNLRP 3とい炎症物質を、カルシノン酸が抑えることも明らかにした。つまりカルシノン酸が新型コロナウイルス感染症による重症化を抑える可能性が示された。
また研究グループは、カルシノン酸が脳に移行すること、そして炎症が脳に与えるダメージをNLRP 3の抑制により抑えてくれることを、これまでのアルツハイマー病やパーキンソン病についての研究で示してきた。このことより、新型コロナウイルス感染症がもたらす脳へのダメージによる後遺症を、カルシノン酸が改善できる可能性について今後は調べていくという。(記事:室園美映子・記事一覧を見る)