年頭所感から読み解く、2022年・経済浮沈のカギとは?

2022年1月16日 16:52

一昨年より続く新型コロナウイルスの猛威。世界の感染者数から見れば、日本は落ち着いた状況だと言えるだろうが、新たなオミクロン変異株への置き換わりも進み始め、未だ予断を許さない状況だ。とはいえ経済に目を移すと、コロナ禍が始まった2020年と様相が異なってきた。(株)三菱総合研究所の調べによると、世界のGDP(約90兆ドル)は2020年から一気に約5兆ドル増加したそうだ。ロックダウンや自粛による需要不足から一転、供給不足が目立つ2022年の始まりとなった。

 コロナ禍は、人々のライフスタイルに変化をもたらすだけにとどまらず、あらゆる業界・業種のビジネスモデルを一変させた。ニーズ自体が変化した業種もあるだろう。時代の変化を、コロナ禍が後押しして加速させている形だ。時代と社会のニーズを的確に把握し、新たな技術やビジネスに対応できるかが、企業経営にとって重要となってくるだろう。国内企業の年頭所感からも、様々な「変化」に対する意気込みが伝わってくる。

 大手通信会社の(株)NTTドコモは、年頭所感において、昨年から続けている変革・進化を継続していくことを発表した。今年で営業開始から30周年を迎える同社は、1月1日よりNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化させることで、経営方針の統一や機能の統合を推し進めた。モバイルからサービス・ソリューションまで事業領域の拡大をすることで新たなサービスの創出や、開発力を強化するなど、グループの「最適化」を進めることが目的だ。「あなたと世界を変えていく。」という新ブランドのスローガンがそれを物語っている。

 コロナ禍で加速するデジタル化に言及しているのが、国内大手の富士フイルムホールディングスだ。全社の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を加速することで、新しいビジネスモデルの創出と、生産性を向上させることが狙いだ。子会社を通じ、Microsoft Dynamics 365の 販売及び導入支援サービスへ参入することも表明し、基幹業務起点で顧客の DX や業務改革を支援する方針だ。

 世界的に話題となっている「ESG経営」の推進を表明しているのが、国内ハウスメーカーのアキュラホームだ。コロナ禍とウッドショックの影響が直撃した同社だが、職域接種をいち早く取り組み、従業員や顧客、取引業者やその家族に至るまで接種を行なった。その結果、多くのステークホルダーから信頼を得ることに繋がり、例年より多くの受注や紹介を得ることに成功した。ESG経営の一つとなる、社会との繋がりを生み出し、それらをサポートすることで、過去最高益の到達が見込まれている。

 木造の注文住宅を手掛ける同社では、中大規模木造建築の普及に向け、そのプロトタイプとなる日本初の純木造 8 階建ての本社・新社屋の建築を発表した。併せて都市部での木造建築による資産活用の提案などを実施し、SDGs の取り組みとして日本の街並みに木造建築を復活させるべく、都市の木質化を全国へ推進する予定だ。環境や社会に対する配慮を怠らず、文字通りのESG経営を、今年も継続していくそうだ。

 コロナ禍以外にも、世界は変化し続けている。米中対立や地域間紛争など、様々な場所で情勢が刻一刻と変化している。今後、グローバル化が進んだ社会の中で、企業側にも変化に対応していく、更なるフットワークの軽さが求められるようになるだろう。各社の年頭所感にもあるように、国内はおろか、世界的にも注目を集める「最適化」と「DX」と「ESG経営」というキーワードが、2022年・経済浮沈のカギを握っているのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)

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