シロアリ進化の有力仮説が覆る 当初から小型化か 沖縄科技大の研究

2022年1月16日 09:30

 シロアリは家屋に被害を及ぼす害虫として知られているが、そのようなシロアリの種類は数種類のみである。シロアリはアリとは生態が大きく異なり、実際にはゴキブリから分岐して進化する中で社会性を形成したと考えられている。これまでの研究では、シロアリは進化の過程で徐々に小型化することで社会性を形成してきたという説が有力とされてきた。だが沖縄科学技術大学院大学の研究グループは14日、そのような仮説が覆る研究成果を発表した。

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 シロアリは1億5千万年ほど前に、姉妹群であるゴキブリから分岐したとされている。そこから現在に至るまで、少しずつ小型化して社会性を獲得してきたというのが有力な説だったが、しっかりと検証はされてこなかった。シロアリは既に絶滅したものも含めると3000種類ほど存在するが、特に絶滅種を含めた研究はされてこなかった。

 そこで今回の研究では、既に絶滅した76種類を含む1500種類あまりのシロアリの大きさを調査。元々はシロアリの行動比較、採集も視野に入れていたが、新型コロナウイルス感染症による渡航制限で中止せざるを得なかった。そこで、沖縄県内で出来る研究として、標本での大きさの比較を中心に行ったという。

 その結果、1億年前に生きていた種類の中にも既にかなり小型化しているものもあることが確認された。この事実は、シロアリが徐々に小型化したのではなく、ゴキブリから分岐した時点で既に小さかったということを示唆するものだ。また、同じ種類のシロアリでも小型化しているものがあれば大型化しているものもあり、一概に小型化しているという従来の説に反する結果となった。

 一般に昆虫の体の大きさは、同じ空間に入る個体数、つまりその社会の複雑性と相関があると考えられている。したがって、今回の研究はシロアリの社会性も含めた多角的な理解につながることが期待される。

 今回の研究成果は2021年11月17日付の「Proceedings of Royal Society B」誌のオンライン版に掲載されている。

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