相場展望12月23日 日経平均は閑散相場のなか、超短期筋の独壇場 仕掛けに殺到、「2日間急騰、次の2日間急落」
2021年12月23日 08:42
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)12/20、NYダウ▲433ドル安、34,932ドル(日経新聞より抜粋)
・世界的に新型コロナ変異株「オミクロン型」が感染拡大し、行動規制強化による景気減速への懸念が高まり、国内外の景気の影響を受ける景気敏感株が売られた。
・米国でも劇場の閉鎖やスポーツ試合を延期する動きが広がっている。
・バイデン政権の看板政策である、子育て支援・気候変動対策投資で1.75兆ドル規模の歳入・歳出法案の実現が不透明になったことも、投資家心理を冷やした。Gサックスは、同法案が成立しないこと前提に、2022年米経済成長率を引下げた。
・建機のキャタピラー、機械のハネウェル、電気自動車のテスラが売られた。
【前回は】相場展望12月20日 世界主要4中央銀行、『金融引き締め』に舵切る 『金利上昇』『市中の資金回収・縮小』へ身構える
2)12/21、NYダウ+560ドル高、35,492ドル(日経新聞)
・新型コロナ「オミクロン型」への警戒感から前日まで3日間で▲1,000ドル近く続落したが、ワクチンが一定の効果があるとし、下落は行き過ぎとし反動高。
・旅行・レジャー関連、ビザ・アメックス・ディズニーなど消費関連株が高い。
・長期金利が1.49%と上昇し、利ザヤ拡大の見方から金融株にも買いが入った。
・マイクロンが市場予想を上回った決算で11%上昇、アップルも買われた。
3)12/22、NYダウ+261ドル高、35,753ドル(日経新聞より抜粋)
・消費者マインドの強さを示す米経済指標や、新型コロナの飲み薬の緊急使用が承認され、重症化を抑制できるとの期待が広がり、投資家心理が改善した。消費関連株を中心に買いが入った。
・カードのビザ、アメックスが高く、航空機のボーイング、旅行関連も上げた。
●2.米国株、年末に向かっての懸念材料
(1)節税売りによる、売り圧力の強まり。
(2)FRBの金融引き締め転換で、
・金利上昇 ⇒ 企業業績悪化を招く可能性。
・過剰マネー減少 ⇒ 投機マネー縮小の意識が、相場に影響する可能性。
ただし、来年3月までは過剰マネーの供給は継続。
・長短金利差の縮小 ⇒ 景気後退を示唆
(3)オミクロン株の感染拡大を受け、行動規制強化で景気回復が遅れるとの懸念強まる。
・各国の規制強化
フランス : 英国からの入国を12/18から原則禁止。
オランダ : 都市封鎖。
米NY市 : 複数の劇場で休演。
・原油需要減退予測で価格の軟調
(4)クリスマス休暇入りのため、市場参加者が減少による閑散取引のため乱高下が起きる可能性がある。
(5)先物の特別清算(SQ)は、12/17に実施し、持ち高調整の売りの後遺症に注意。
●3.ゴールドマン、マンチン上院議員の税制・支出法案反対で、米成長率予想を下げ
1)Gサックスは、米国の経済成長率予想を引下げた。(ブルームバーグ、CNN、ロイター)
法制化されない場合の米GDP予測(下方修正)
2022年01~03月 +3.0% ⇒ +2.0
2022年04~06月 +3.5 ⇒ +3.0
2022年07~09月 +3.0 ⇒ +2.75
2)米民主党のマンチン上院議員が12/19に、バイデン政権の経済対策の中核を占める1.75兆ドル(約200兆円)規模の税制・支出法案を支持しないと表明したことを、織り込んだ。マンチン議員は、インフレ高騰を懸念し、「地元に帰って説明できない法案に賛成することはできない」との声明を出した。法案には、子育て支援や医療費補助の拡大、気候変動対策などが盛り込まれている。
3)米上院の議員勢力は民主党と共和党が同数の50:50であるため、マンチン民主党上院議員の不支持表明により、同案の可決に向けた計画は事実上崩壊した。
●4.米12月消費者信頼感指数115.8、予想111.0を上回る(フィスコ)
●5.米7~9月期GDP成長率は前年同月比+2.3%、予想2.1%を上回る(フィスコ)
1)オミクロンが、経済成長見通しに影。(ロイター)
●6.11月消費者物価指数の前年同月比の上昇率(ブルームバーグ)
1)米国 +6.8% 39年ぶりの高水準
英国 +5.1 中央銀行の目標+2%を大きく上回る
ユーロ圏 +4.9 統計開始後、最大の伸び
2)インフレの急加速が、一時的かどうか?議論されてきたが、この論争は今や終わった。
3)インフレ過熱を示す統計を受け、米英欧の3中央銀行は行動せざるを得なくなった。
●7.押し目買いトレーダーに警鐘、米株ETFに300億ドル流入後に続落(ブルームバーグより抜粋)
1)▲1%下落した場合の「押し目買いの成功率は68%」だった。
2)先週は米ETFに300億ドル(約3兆4,100億円)が流入したが、株価は続落した。
3)クロスマークのボブ・ドール氏は、政府とFRBが刺激策を引き揚げようとしており、「市場の最良の友が、最終的には敵になろうとしている」とコメントした。
●8.原油先物は12/20、シンガポールで▲2%下落、オミクロン株拡大で需要に懸念(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)12/20、上海総合▲38安、3,595(亜州リサーチ)
・中国の新型コロナ感染拡大が不安視される中、2月の北京冬季五輪開催で北京市などは厳しい移動制限を発令。経済活動が停滞すると懸念された。
・中国人民銀行は最優遇貸出金利を3.85⇒3.80%に引下げ、市場では好感された。
・業種別では、自動車の下げが目立ち、反面、不動産株はしっかり。
2)12/21、上海総合+31高、3,625(亜州リサーチ)
・銀行貸出指標の最優遇貸出金利の追加引下げの見通し伝わり、期待感が強まった。
・最優遇金貸出金利は12/20に▲0.05%引下げたが、市場は「物足りない」との声。
・業種別では、不動産の上げが目立ち、発電・自動車が買われた。
3)12/22、上海総合▲2安、3,622(亜州リサーチ)
・新規の買い材料が乏しい中、前日、買いが目立った銘柄が売りに押された。
・追加利下げや、不動産の引き締め緩和への期待が引き続き手掛かりになった。
・世界銀行(IMF)は、中国の2021年国内総生産(GDP)成長率予想を▲0.5%下方修正し、中国経済の先行きに下振れリスクが高まっている、と指摘した。
・業種別では、不動産・金融が下げ、反面、ハイテクは高かった。
●2.中国▲0.05%利下げ、経済失速か、習政権の危機感の表れか(読売新聞より抜粋)
1)中国人民銀行(中央銀行)は12/20、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利を1年物金利を▲0.05%引下げて3.80%にした。
2)引下げは中国で、新型コロナ感染拡大による打撃が深刻だった2020年4月以来、1年8カ月ぶりで、事実上の利下げとなる。
3)中国経済は消費の減退や、不動産開発の低迷などで失速しており、企業の金利負担を軽くするねらいがある。
4)人民銀行は、金融緩和が期待される銀行の預金準備率の引下げを実施したばかりだ。最優遇貸出金利引下げは、経済の現状に対する習近平政権の危機感の表れと言えそうだ。
●3.中国アリババは、国内苦戦で海外事業に主眼を置く方針(ロイター)
●4.中国オフショア債のデフォルト、12月は4,300億円相当で過去最高(ブルームバーグ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)12/20、日経平均▲607円安、27,937円(日経新聞より抜粋)
・前週末の米国株安を受けリスク回避の売りが先行したが、その後、中国人民銀行の利下げが伝わると、中国景気の先行き懸念から売り圧力に拍車がかかった。
・中国の利下げは景気を下支えする効果があるが、その必要があるほど中国景気は弱くなっているとの見方が出て、かえって売りを促す結果となった。
・新型コロナ・オミクロン型が世界で感染拡大、行動制限・都市封鎖に踏み切った。日本国内でも人の移動が増える年末年始を控え、感染再拡大を強く懸念された。
・ジェイテクト・マツダ・ダイキンが売られ、任天堂・エムスリーが買われた。
2)12/21、日経平均+579円高、28,517円(日経新聞より抜粋)
・2営業日で▲1,100円超の下落したため、自律反発を見込んだ買いが先行した。
・米株価先物指数が上昇したことも追い風となった。
・半導体関連株などの上昇が目立ち、指数を大きく押し上げた。
・28,500円近辺では目先の達成感から利益確定売りや戻り待ち売りが上値を抑えた。
・塩野義・アドテスト・東エレクが大幅上昇、新生銀・三菱マ・古川電が下落。
3)12/22、日経平均+44円高、28,562円(日経新聞)
・前日の米株式市場上昇で、東京市場も値嵩株が買われ一時+150円超高となった。
・前日、+500円超の大幅高もあり、買い一巡後は、戻り待ちの売りに押された。
・クリスマス休暇で市場参加者が少なく、上値追いは限られた、との声が聞かれた。
・東エレクなど半導体関連・ソニーが買われ、任天堂・ファナックが売られた。
●2.日経平均は、閑散相場の中、超短期筋の独壇場で「2日間急騰⇒2日間急落」の繰り返し
1)日経平均は「2日間の日替わりで、急騰・急落の繰り返し」と短期間で転換する状況
・12/7・8 12/15・16 12/17・20 12/21・22
+933円高 +634円高 ▲1,129円安 +625円高
2)閑散取引の中、ちょっとした仕掛けに、アルゴが追随し、乱高下する様相に
(1)28,000~28,800円のレンジ内で、「内外短期筋の売買仕掛け+アルゴ」に激しく振り回される状況になっている。
(2)売りに「殺到」、買いに「殺到」するような相場展開で、1日の値幅が大きい。しかも、急騰・急落の滞在日数は短く、高速回転となっている点が特徴。
(3)この相場に安易に参加すると、「高値で買い・安値で売らされる」リスクがある。
3)相場の状況
(1)東証1部売買額は、12/22 8億7,492万株 1兆9,894億円と2兆円割れで、閑散。
(2)日経平均が大幅上昇したにもかかわらず、年初来高値銘柄数が、安値銘柄数と比べ大幅に少なく、日経平均の上昇に対し逆現象を起こしている。下落の可能性示唆?
12/21 12/22
日経平均 +579円高 +44
年初来高値 9銘柄 13
年初来安値 138銘柄 64
(3)ストキャスティクスは、日経平均急伸の中、逆行して下降しており、下落示唆?
12/16 12/21 12/22
日経平均 +602円高 +579 + 44
FAST 76 35 37
SLOW 72 55 42
・短期間で上下しており、相場のトレンドは安定できず、不安定な状況が続く。
・ただ、25日移動平均線は下降を続けていることもあり、依然として売り優勢とみられる。
(4)25日移動平均線が12/17に、200日移動平均線を下回るデッドクロスした。
(5)25日移動平均線(28,670円)が上値抵抗線として意識されている。
(6)Cスイスの動向に注目したい。
・買い残2.5万枚と、日経平均上昇を見込んで積み上げている。
・売りドテンしたら、破壊力ありそう。
4)年末を控え、注目事項
(1)海外投資家がクリスマス休暇入りの中、閑散取引となり、乱高下が高まる地合い。
(2)米国株先物との連動性がさらに高まる。
(3)経済指標の発表も少なく、新規の売買材料が乏しい中、わずかな仕掛けで値動きし易い。
●3.日経平均12/20大幅下落、中国・政策利下げで中国経済失速を意識(共同通信)
●4.政府、最大35兆9,895億円の補正予算成立(共同通信)
●5.半導体の国内安定生産へ、工場建設費用補助の改正法が12/20成立(時事通信)
1)半導体大手の台湾・TSMCなどが熊本県に建設する新工場の認定を想定。
2)新たに基金を設置してデータセンターや自動運転などの分野で不可欠の先端半導体の工場建設にかかる費用を補助する。
●6.11月コンビニ既存店の売上高、前年同月比▲1.7%減、2カ月連続のマイナス(ロイター)
●7.診療報酬は来年度▲0.94%引下げ、医師には+0.43%上昇・薬価▲1.37%引下げ(産経新聞)
1)雇用保険は現行の賃金0.2%⇒来年10月に0.6%に引上げ。
2)75歳以上の後期高齢者の医療負担1割⇒来年10月2割に引上げ。
●8.企業動向
1)ダイハツ 2030年までに国内新車販売を全て電動車に(TBS)
2)トヨタ 12月2.2万台に減産拡大、部品不足解消されず(時事通信)
1月も国内で5工場稼働停止し、2万台に影響(共同通信)
3)すき屋 牛丼を12/23から値上げ、並盛は+50円で400円(ブルーバーグ)
4)日本郵便 ドローンとロボットで無人配送を実証実験(NHK)
5)伊藤忠 英国の廃タイヤ最大手を買収(時事通信)
タイヤの卸売⇒小売⇒回収⇒リサイクルまで一貫した体制を構築
6)プリマハム 家庭用ハム、ソーセージ200品目を5~12%を2/1値上げ(読売新聞)
7)塩野義製薬 開発中の新型コロナ飲み薬「オミクロン株にも効果」(毎日新聞)
8)日通 旧本社をミネベアミツミに売却、特別利益+530億円 (ロイター)
9)カインズ 東急ハンズの全株式を東急不動産から来年3月末に買収(読売新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4188 三菱ケミカル 業績好調。
・2201 森永製菓 業績堅調。
・4427 EduLab 業績好調。
・4495 ミズホメディ 業績好調。