時を表す英語の副詞 (2)「yet」と「still」のニュアンスの違い
2021年12月19日 08:09
時を表す英語の副詞として、前回は「already」と「just」の違いに焦点を当てた。今回は、日本語で「まだ」と訳されることの多い「yet」と「still」の違いを見ていこう。
【こちらも】「already」と「just」の違いは? 英語の時を表す副詞の使い方
■「yet」と「still」を使った基本例文
まずは「yet」の例を挙げよう。
I have not been to the supermarket yet.
「私はまだスーパーに行っていない」という意味だ。ここでの「yet」はまさに「まだ」と訳すのがふさわしい。「スーパーに行く予定ではあるが、現時点ではまだ行っていない」ということを意味する。
一方、同じく「まだ」と訳せる「still」の場合はどうだろう。
I have been waiting for an hour, but she still has not arrived.
日本語にすれば「私は1時間待っているが、彼女はまだ到着しない」となる。この「still」も「まだ」と訳せて、先ほどの「yet」と同じく、「彼女が到着する予定であるが、現時点でまだ到着していない」ということを表す。
ただ、「yet」と違って、「現在までに彼女はすでに到着しているべきはずなのに、まだ到着していない」というニュアンスが含まれていることに注意したい。つまり、「近い将来予定されていることが、現時点ではまだ起こっていない」という「yet」に対して、「still」には、「すでに起こっていなければならない出来事が、何らかの事情で起こっていない」という意味があるわけだ。
もう1つ「still」を使った例文を見てみよう。
I still have not called my boss.
文字通り訳せば「私はまだ上司に電話していない」となるが、「still」を使うことで、「本来ならこの時点で上司に電話をしていなければならなかったのに、何らかの事情でいまだにできていない」という意味が込められるわけだ。単にまだ完了していない「yet」、完了しているべきはずのことが、なぜかまだ完了していない「still」と覚えておくとよいだろう。
■注意したいニュアンスの違い
「still」は肯定文で使っても、「完了しているべきはずのことがまだ完了していない」というニュアンスが出せる。
She is still doing her homework.
簡単に訳せば「彼女はまだ宿題をしている」となるが、「still」を使うことによって、「彼女はもう宿題を終わらせていなければならないはずなのに、まだ終わっていない」というニュアンスになるわけだ。
「yet」に関しても、肯定文で使った場合でも基本的には同じことだ。
Have you finished your homework yet?
「もう宿題終わったの?」と訳せるが、話者の気持ちとしては単に終わったかどうか知りたいだけで他意はない。「still」との違いに注意してほしい。
Have you still not finished your homework?
こう言われた時は、「まだ宿題終わってないの?(もう終わっていていいはずなのに)」と、話者の期待に応えられていないことがわかる。
ちなみに、「Have you already finished your homework?」と、前回説明した「already」を使った時の意味も確認しておこう。これも「yet」の場合と同じく「もう宿題終わったの?」と訳せるが、「もう終わったの!?(そんなに早く?)」と話者の驚きの念が込められていることに注意したい。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)