DXへの取り組み、企業の7%のみ 課題は「社員のITスキル・教育」が半数超
2021年12月14日 08:29
新型コロナウイルス感染症の流行によって人々の働き方も大きく変化した。感染予防の目的でテレワークの実施、会議や商談などのオンライン化の取り組みがなされたが、その過程でICTの遅れが自覚され、にわかにDX(デジタル・トランスフォーメーション)への関心が高まった。DXへの関心は高まったものの実際に取り組みを始めている企業は少数派で、取り組みが円滑に進まない背景にはDX人材の不足や従業員のITスキルの不十分さがあるようだ。
12月3日、リサーチ・コンサルティング企業のJ.D. パワージャパンが「J.D. パワー2021年DX取り組み動向調査」の結果レポートを公表している。この調査は今年7月~8月に全国の従業員50名以上企業(回答数4855件)を対象に郵送調査として行われたものだ。これによれば、DXに「既に取り組んでいる」と答えた企業は7%のみで、「今後、取り組んで行きたい」27%を合わせても34%と3社に1社程度にとどまった。規模別に見ると、大企業(従業員1000人以上)では、「既に取り組んでいる」が23%、「今後、取り組んで行きたい」40%で、両者を合わせ63%と、規模が大きくなるほどDXへの取り組みは積極的になっている。一方、中小企業では「既に取り組んでいる」4%と関心が低く「わからない」とする企業も多くなっており、レポートは「DXというワードだけが先行し、DXに対する理解や啓蒙がまだまだ必要な段階にある」と指摘している。
DX推進の目的については「業務の効率化・自動化/生産性向上」が80%とダントツで多くなっており、一方、「新しいビジネスモデルの構築・事業デジタル化」22%や「顧客体験価値・サービス向上」14%などは少数派で、デジタル化による業務体制の変容という意味でのDXには未だ至っていないようだ。今後取り組んでいきたい分野も「文書管理保管・ペーパーレス化」の38%が最多で、現在はDXへの準備の段階というのが実態のようだ。
課題・懸念については、「社員のITスキル・教育」52%が半数超えで最多、次いで「既存システムとの連携・改修」42%、「社内のDX推進体制構築、DX推進人材育成」がともに41%の順となっている。レポートは「社員がツールを使いこなせるかといった懸念や、効果的に活用するための教育といった運用負担に対する懸念が高い」と分析している。レポートは「『DX』に対する理解や啓蒙といった活動がまだまだ必要な段階にある」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)