「新型コロナ感染症の専門家はいない」、感染メカニズムは未だに不明!
2021年11月18日 11:13
2年近くに及ぶ新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)と人類との闘いの中で、ワクチンが想定外の速さで開発されて接種も進んでいる。治療薬も間もなく陽の目を見そうだという、期待感を伴った報道が盛んである。だが新型コロナの正体が解明されたわけではない。
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未だに感染のメカニズムすら明確ではない。国によって、地域によって感染状況は様々だ。
日々数万人の感染者が発生する米国・英国・ロシア・ドイツなどの中には、再拡大を懸念させる国すら存在する。日本では第5波の猛威に翻弄されているうちに、あっけない程の短期間で感染者数が劇減し、現在1日の感染者は200人程になった。まるで終息に向かっているかのような減少傾向を示している。
日本で何か特別な感染予防対策が、講じられたわけではない。それどころか、マスコミに登場する”専門家”諸氏は相変わらず「マスク、手洗い、うがい」の連呼に止まり、状況を的確に解説しようとする気配すら感じられない。
もちろん、世界中の誰も感染のメカニズムを解明していないから、日本の専門家にそれを求めることは酷である。ただ、感染防止対策を求める時だけに饒舌な専門家に、違和感を覚えているということだ。
2020年の初めに突如として認知された新型の感染症は、中国での発見経緯に野生動物の介在が伝えられたことから、殊更凶悪な感染症というイメージが広まった。
厚生労働省も致死率の高い感染症として2類相当と指定し、国民に注意喚起を促した。
2020年7月には新型コロナウイルス感染症対策分科会が組織され、感染状況や医療提供体制の検討を行っている。分科会を構成する18人の委員の中で、医療関係者と思わせる肩書の持ち主は10名で、そのうち感染症という言葉が肩書に含まれているのは3名だった。
ちなみに、尾身茂会長は「独立行政法人地域医療機能推進機構理事長」と標記されているから、医療全般の見識が評価されて、バランス感覚のあるリーダーシップが求められていたことであろう。
分科会に求められていたのは、”様々な分野の専門家”がそれぞれの知見を持ち寄って、目前に押し寄せる危機から如何にして国民を守るバランスの良い対策が講じられるか、ということであるから、メンバー構成に問題はない。
残念なのは、分科会で集約される意見が感染対策に偏重していたのではないか、ということだ。「人流の5割削減」「テレワークの拡大」「不要不急の外出を控える」という総論に反対することは困難だったが、「なぜ」「どうやって」という各論を具体化しなければ社会全体の動きとはなりにくい。そんな中で、何となく関係がありそうな飲食店とアルコールが目の敵のように扱われていた。
実際には、自粛疲れにより人流が増加して再拡大を懸念する声が高まる中で、急激に感染が縮小するという皮肉な状況になったのである。
再拡大のリスクが否定できない現状で、専門家として外部に発信する立場の人達には、経済的な基盤がなければ成り立たないことを前提にして、現実的で具体的な提言が発せられることを切に願うものである。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)