営業DX、顧客データ活用できず 要因はデータ収集戦略の欠如、人材不足

2021年11月9日 08:58

 コロナ禍で企業のDXが一気に加速し始めた。感染予防のためのテレワークやオンライン化の推進でポスト・コロナ時代ではDXは必須ということを実感した企業も多いであろう。多くの企業がDXに取り組む中、様々な課題も出てきている。当初から予測されていた人材の不足が顕在化し、戦略的視点に欠け予想していた成果があがらず足踏み状態になる企業も増えてきている。営業部門においてはデータ収集を推進してきたものの、その収集に体系性を欠き競争優位を生み出す顧客の分析にデータを活用できないケースが増え、その克服が課題となってきているようだ。

 営業支援コンサルタント業のソフトブレーンが9~10月に自社の顧客170社を対象に「営業DXに関するアンケート調査」を実施し、その結果レポートを10月25日に公表している。これによれば、「データを活用した営業ができているか」との問いに対して、「とても良くできている(1.4%)」または「できている(13.5%)」と答えた企業の割合は14.9%にとどまっている。

 「営業活動に役立つと思うデータ」については「顧客データ」が19.4%と最も多く、以下「営業行動データ」16.1%、「顧客接点データ」14.5%と続いており、顧客関連データを重視しているようだ。しかし、「管理・分析を行っているもの」については、「売上予実管理・分析」が20.0%と最多となっており、売上に関する管理、分析は実行されているものの、「顧客接点分析」が6.7%、「顧客行動分析」3.9%と顧客関連分析の実行率は低くなっている。レポートは「顧客に関するデータは営業活動に役立つと考えてはいるものの、実際にはデータをうまく活用できていない」と指摘している。

 「管理・分析出来ない要因は何か」と聞いた結果では、「活用を意識したデータ収集が出来ていない」が22.8%で最多、また「管理、分析する人材がいない」20.1%や「DBやツールがバラバラで統合できない」19.5%などが5社に1社となっている。人材の不足とそこから派生する戦略的なデータの収集と管理の欠如を自覚している企業も少なくないようだ。レポートは「あらゆる業界でDX化が進む中、人材の確保は喫緊の課題である」、「どのように営業活動に活用すればいいのか分からないという結果は、急速に進んだデジタル化の影響も起因している」と指摘している。また「データ収集と活用が営業戦略と紐づいていること」が成果を上げている企業の特徴とも指摘している。(編集担当:久保田雄城)

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