クボタ、ESG中心経営と既存事業のグローバルな拡大で成長目指す

2021年11月9日 07:49

 クボタは10月26日、スペインのトラクター用機器メーカー「フェデ社」を買収すると発表した。フェデ社はスペインとポルトガルを中心に展開し、果樹栽培の防除作業に使用する薬剤散布用スプレイヤーの専業メーカーである。

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 クボタは、果樹園での作業に適した車幅の狭い「ナロートラクター」を販売しており、フェデ社製品をトラクターに装着して使うことにより、果樹園での薬剤散布の効率化や環境負荷の低減を目指す。

 クボタは1890年、鋳物メーカー「大出鋳造所」として創業。1893年に水道用鋳鉄管の製造を開始した。1897年に「久保田鉄工所」へ改称し、住宅建材、畑作業用トラクター、水田作業用トラクターへ順次進出。1990年の創業100周年に現在の社名へ改称した。

 2020年12月期の売上高は1兆8,532億円。部門別の構成比は、農業機械や建設機械などの機械部門が81.4%、パイプインフラ関連製品と環境関連製品などの水・環境部門が17.1%、各種サービス事業のその他部門が1.5%を占めている。

 売上高の海外比率は67.9%、世界120カ国以上でビジネスを展開するグローバル企業クボタの動きを見ていこう。

■前期(2020年12月期)実績と今期見通し

 前期売上高は1兆8,532億円(前年比3.5%減)、営業利益は前年よりも264億円減の1,753億円(同13.1%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、欧米、日本で新型コロナの影響による工場の稼働停止、出荷遅れにより機械部門が234億円の減益。福島の廃棄物処理施設の建設が一巡したことによる反動減と、海外ODA案件遅延により水・環境部門が22億円、管理部門経費、研究費の増加などで全社調整その他が7億円の減益であった。

 今期第3四半期(1-9月)実績は、売上高が1兆6,416億円(前年同期比21.0%増)、営業利益2,115億円(同62.8%増)の中、今期は売上高2兆1,500億円(前年比16.0%増)、営業利益2,600億円(同48.3%増)を見込んでいる。

■中期経営計画2025による成長戦略

 DX推進を共通のテーマとするESG経営を中核に据え、2025年12月期売上高2兆3,000億円(対前期比24.1%増)、営業利益3,000億円(同71.1%増)を目指して、次の戦略を推進する。

●1.既存事業のグローバルな拡大

 ・北米建機事業は、製品ラインアップの拡充、北米生産拠点開設に向け製販一体体制の構築。
 ・アセアン建機事業は、安価トラクターやコンバイン投入による事業領域拡大と小売金融の充実。
 ・機械事業はグローバルな展開を活かした部品事業、メンテナンス契約制度の拡充推進。
 ・水と環境部門は、自治体の人手不足、インフラ老朽化に対応するため、IOTを活用した運営、メンテナンス、ソリューション主体の事業への脱皮。

●2.次世代成長ドライバーの確保

 ・ESG戦略会議を司令塔に、社内外との協創により開発、事業テーマの選定、研究開発、事業化を推進。

●3.事業基盤強化と持続的成長を支えるインフラ基盤整備

 ・グローバルな変化に対応した運営体制への変革、人財育成とリスクマネジメントの強化。

 顧客と共に「食料・水・環境」の課題解決に向け、イノベーションを進めるクボタの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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