東京海上、太陽光PPA事業者向けに保険提供 使用会社の倒産リスクも補償

2021年11月2日 08:17

 東京海上日動火災保険は1日、太陽光PPA事業者のリスクを包括的に補償する「太陽光PPA事業者向けパッケージ保険」の提供開始を発表した。太陽光発電の設備損壊リスクや、管理に起因する賠償責任リスク、太陽光発電設備を使用する会社の倒産リスクなどを補償する。東京海上日動は本保険の提供を通じて、脱炭素社会の移行に向けた取組みを支援していくという。

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 PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)は、電力事業者(PPA事業者)が、再生可能エネルギーの発電設備を電力使用者(需要家)の敷地内に無償設置して運用・保守を行い、発電した電力を供給する。再生可能エネルギーへの需要の高まりを受け、近年太陽光発電の電力販売手法として注目を集めている。

 需要家は使用量に伴い電気料金を支払う必要はあるが、基本的には割安となる。PPA事業者は、需要家から長いスパンで料金支払いを受けることで、発電設備の設置コストなどを回収する。

 太陽光PPA事業者向けパッケージ保険で特徴的なのは、需要家の会社倒産による損失リスクを補償する点だ。会社倒産による電気料金の未払いや、太陽光発電設備の移設・撤去に伴う工事費用を包括的に補償。コスト回収に時間が必要なPPA事業の貸倒リスクを保険でカバーする。その他、自然災害などで設備が壊れた際の損壊リスクと、設備管理を原因として第三者に損害を与えた際の賠償責任リスクも補償する。

 本保険の提供は、カーボンニュートラルの実現や脱炭素社会への移行を目指す社会課題が背景にある。東京海上日動は、2021年2月に課題に向けた取組みを支援する部署横断組織「グリーン・トランスフォーメーションタスクフォース」を新設。同組織は保険の開発やリスクコンサルティングによる貢献を目指しており、本保険もその一環となる。

 東京海上日動は、本保険の提供により太陽光PPAモデルの導入促進を目指す。また今後は、PPA事業の拡大に応じて事業者・需要家双方からニーズを収集し、新たな商品開発に取り組んでいくという。

 同社はまた、2021年9月にも太陽光発電事業者向けの保険制度の構築を発表。太陽光発電システムの普及・産業発展を目指す一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)を契約者、一定条件を満たした太陽光発電事業者を被保険者として、太陽光発電設備の廃棄費用や、施設の所有・管理に関わる賠償責任リスクを補償する制度を設計。21年12月より提供を予定している。

 同保険制度は、太陽光発電設備の導入が活発化する中、法改正で2022年7月から予定されている廃棄費用の外部積立義務化や、設備管理のリスクヘッジを求める社会要請を受け、JPEAと連携して構築している。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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