起業はゼロから始めない!今ある会社を継いで育てる新しい事業承継とは(連載第1回)
2021年10月27日 08:37
(連載第1回)0→1起業ではなく、今ある会社を受け継ぐ「ネクストプレナー」による事業承継。これまでの日本にはない新しい起業のスタイルといえるでしょう。本連載では、今なぜ、ネクストプレナーなのか、その背景にある課題とともに、新しい起業スタイルとその働き方を提案しています。
本連載は、書籍『今日から1年後に社長になる方法―今ある会社を継いで、想いと事業を育てる「ネクストプレナー」』(2021年9月発行/著者:河本 和真)の一部を、許可を得て抜粋・再編集し収録しています。
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【本記事はこちらの書籍からご紹介しています】今日から1年後に社長になる方法―今ある会社を継いで、想いと事業を育てる「ネクストプレナー」
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■ゼロイチ起業が全部じゃない。今ある会社をつないで育てるネクストプレナーという働き方
■「もっと自分を生かせる場所があるのではないか」とモヤモヤしている方へ
■2025年に迫る「大廃業時代」。ネクストプレナーが日本経済の救世主に 販売サイトへ
著者:河本 和真
Growthix Capital株式会社 取締役/一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事。大学院在学中に、学業と並行してベンチャー企業の立ち上げに従事。2014年4月、野村證券株式会社入社。入社後3年間、東京都内の支店にて証券リテール営業に従事。社内最速2年目での職位昇格を果たす。2017年にテック系M&Aアドバイザリーに参画。M&Aによる事業再生案件等を手掛けた後、2019年6月より、Growthix Capitalの創業メンバーに参画。譲渡に備えた財政状態の整備や、譲受後の戦略コンサルティング等エグゼキューションのみならず幅広くお客様のニーズにお応えする。
ネクストプレナー協会
サステナ社団(一般社団日本事業継続支援機構)が運営するネクストプレナー協会のWebサイトです。
新しい事業承継のスタイル|「ネクストプレナー」が日本経済を救う
はじめまして。一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事の河本 和真です。
本連載では、日本の新しい起業スタイルであるネクストプレナーという働き方を提案しています。
ネクストプレナーとは、ひとことでいえば起業家です。ただし、何もないところから自分で事業を立ち上げる「0→1起業」のことではありません。
ネクストプレナーの最大の特徴は、すでに歴史や実績のある企業の経営を旧経営者から引き継ぎ、「次の」経営者となることなのです。
私はこのネクストプレナーの存在こそ、これからの日本経済の救世主となる存在だと考えています。
なぜ、ネクストプレナーがこれからの日本経済を救うのか。
その背景には、現在の日本が抱える「大廃業時代の到来」という問題があります。
2025年までに、127万の中小企業が黒字のまま廃業を迎えるといわれています。その理由は、優良な中小企業の経営者の多くは高齢となっており、後継者がいないためです。
もし127万社が本当に廃業してしまったら、日本全体で650万人の雇用と、22兆円のGDPが失われると予測されています。低迷が続く日本経済が受けるダメージは、相当なものになるでしょう。
この深刻な後継者不在問題を解決し、中小企業の黒字廃業を阻止するには、従来の企業と企業によるM&Aよりも、ネクストプレナーによる事業承継が適していると考えています。
そこには中小企業特有の様々な事情が関係しているのですが、この点については本連載で詳しく解説していきます。
本連載を通して、これからの社会や、ご自身の生き方、働き方について、新たな視点で考えるきっかけとしていただけることを願っています。
0→1起業でも転職でもない、新しい働き方をキャリアの選択肢に
ネクストプレナーという名称は、次を意味する「next」と、起業家を意味する「アントレプレナー」という言葉を基にしています。「次を担っていく起業家」という意味を込め、このように名付けました。
起業家でありながら、「new」ではなく「next」であること。ここが重要なポイントです。
社会人となり数年、キャリアを重ねていく中で次のような考えにたどり着く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「今の会社に居続けても、これ以上のキャリアアップは難しいのかもしれない」
「ずっと雇われる側にいるだけでなく、経営する側にもなってみたい」
実際に行動に移すまでにはいかないとしても、一度は頭の片隅に「自分はこのままでいいのかな」という考えが浮かんだ経験は誰しもあるはずです。
これまでの日本の社会において、所属している会社で出世していく方法以外のキャリアアップといえば、自分で新たな事業を0から立ち上げる「起業」と、条件の良い会社を探して活躍の場を移す「転職」という二つの選択肢しかありませんでした。
0からの起業はもちろん大変な決断ですし、転職したからといって理想のキャリアにたどり着けるかどうかはわかりません。現状に不満を感じていたとしても、次のステップに踏み出すのに躊躇してしまうのは当然のことです。
本書で私たちが提案するネクストプレナーという働き方は、「0→1起業」「転職」に代わる第三の選択肢です。この働き方であれば、キャリアアップを志す方々の力を最大限に生かすことができると考えています。
ネクストプレナーは、どのように事業承継を行うのか?
一個人が投資家から支援を受け、既存の企業(主に中小企業)を買収することで事業を承継し、経営者になる。その個人のことをネクストプレナーと呼んでいます。
このような事業承継は、これまでの日本にはない新しい起業のスタイルといえるでしょう。
ネクストプレナーによる事業承継は、大きく次の4段階に分けられます。<ネクストプレナーによる事業承継の仕組み>
1 企業経営に意欲を持つ経営者候補と、投資家の出会い
2 事業承継を希望する中小企業と、経営者候補の出会い
3 投資家からの支援を受け、事業承継
4 実際に経営を行い、事業の拡大や企業価値の向上を目指す
1 企業経営に意欲を持つ経営者候補と投資家の出会い
現在は会社員などとして働いていても「いずれは経営に参画したい」という意欲を持っている優秀な人材と、そのような人材の可能性に投資をしたいと考える投資家との出会いの段階です。
経営者候補は、ネクストプレナーとして、投資家の支援を受けて既存の事業を承継する仕組みを利用することで、最短ルートで経営者になることができます。
投資家にとっては、プライベートエクイティ投資を行うことと似たメリットを得られます。
ネクストプレナーによる事業承継は、経営者候補、投資家、事業承継を希望する中小企業の三者にとってそれぞれメリットの大きい仕組みなのです。
2 事業承継を希望する中小企業と、経営者候補の出会い
後継者不在問題を抱える中小企業と、その事業に関心を持ち、経営を引き継ぎたいと考える経営者候補との出会いの段階です。
ネクストプレナーが事業を引き継ぐ場合には、事業承継を考える経営者との十分なコミュニケーションを経て、絆を深めた上で交渉を進めていくプロセスを用意しています。
経営者は、買収交渉の段階から、後継者となるネクストプレナーの人柄や能力、価値観、承継する企業や事業への熱意を確認できます。
その結果、自分の会社に相応しい後継者と判断した上で経営を任せることができます。経営者とネクストプレナーが企業理念やビジョンを共有した上で事業を引き継ぐことができるのです。
3 投資家からの支援を受け、事業承継
事業承継をする企業との交渉が進み、現経営者にネクストプレナーの人柄や考えを認めてもらえたら、次は承継後の事業計画を持って投資家との交渉へ進みます。
ネクストプレナーは、承継先の企業との綿密なコミュニケーションを通して、その企業の文化や事業の価値、現状の課題などを理解することができます。その上で、今後の事業計画を社員や現経営者とともに考え、企業価値向上のためのプランを投資家にプレゼンします。
投資家の理解を得られたら、その資金を基に承継先の企業を買収し、事業承継の手続きを進めます。
4 実際に経営を行い、事業の拡大や企業価値の向上を目指す
無事に事業を引き継ぎ、ネクストプレナーが経営を進めていきます。
事業承継前から築き上げてきた社員との信頼関係を生かしながら、現状の課題解決や、企業価値の向上に向けて力を発揮していきます。
(次回に続く)
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【本記事はこちらの書籍からご紹介しています】今日から1年後に社長になる方法―今ある会社を継いで、想いと事業を育てる「ネクストプレナー」
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■ゼロイチ起業が全部じゃない。今ある会社をつないで育てるネクストプレナーという働き方
■「もっと自分を生かせる場所があるのではないか」とモヤモヤしている方へ
■2025年に迫る「大廃業時代」。ネクストプレナーが日本経済の救世主に 販売サイトへ
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ネクストプレナー大学は、ネクストプレナーの育成・輩出を目的とした唯一無二のビジネススクール。後継者不在企業とのマッチングや、中小企業経営に特化したカリキュラム、実地研修などを通じ、着実に経営者への道を歩むことができます。
サステナ社団
サステナ社団(一般社団日本事業継続支援機構)のWebサイト。官民のハブとなり、日本企業の可能性を信じ、持続的に事業を発展させるため、今までの経験や蓄積したデータを基に、事業継承を支援します。
グロウシックスキャピタル株式会社(Growthix Capital株式会社)
弊社は「想いも継承するM&A」を提供しております。譲渡企業様・出資者様・経営者候補様(サーチャー:ネクストプレナー)による3社間M&Aであるサーチファンド型M&Aを採用しています。また、資産運用「ファミリー・オフィス・サービス」を手掛けており、国内だけでなく、シンガポールに拠点を有しております。 元のページを表示 ≫