【映画で学ぶ英語】『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ダニエル・クレイグ最後のボンドの名言5選
2021年10月19日 11:41
10月1日に公開された映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドに扮する最後の作品だ。
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今回はこの映画から、2006年以来15年間続いたダニエル・クレイグのボンドを締めくくる名言を取り上げたい。
■ We’ve got all the time in the world.
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の物語は、前作『007 スペクター』の直後から始まる。前作でボンドは国際的犯罪組織スペクターの幹部ミスター・ホワイトの娘マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)を、悪の手から救出した。
マドレーヌと恋仲になったボンドは、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の冒頭で彼女と新しい生活を始めるべく、南イタリア・マテーラを訪れる。
現役から引退したボンドは、愛車アストン・マーチ・DB5にマドレーヌを乗せてコーストラインをのんびりと走っている。上のセリフは「もっとスピード出さないの」と問うマドレーヌに「時間はいくらでもある」と答えるボンドの言葉だ。
In the worldは「世界中」という意味で強調に用いられる表現。前置詞inと定冠詞の組み合わせで暗記しておきたい。上にあげたセリフは打ち解けた間柄であれば、時間に余裕があることを伝えるのにそのまま使える。
ちなみにこのセリフは映画『女王陛下の007』で何回も使われた象徴的な言葉だ。ルイ・アームストロングが歌う挿入歌「愛はすべてを超えて」の原題でもある。今回の映画でこの楽曲は結末のクレジットタイトルに使われている。
■ We all have our secrets - We just didn't get to yours yet.
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の序盤でマドレーヌに秘密の過去があることがわかり、彼女の秘密はこの映画の重要なテーマとなる。
マドレーヌが自分のことを裏切ったのではないかと疑うボンドが、「誰にでも秘密はある。お前の秘密のことはまだ聞いていない」と吐き捨てるのが上のセリフだ。
Get toは「~に達する、到達する」という主な意味から転じて、口語で「~に取り掛かる、着手する」という意味で頻繁に用いられる表現である。
■ James, It's a good life, this one...the best.
マドレーヌと別れてから5年後、ジャマイカに引退したボンドのもとを、親友でCIAのエージェントであるフィーリックス・ライター(ジェフリー・ライト)が訪ねてきた。
ロンドンのMI6(秘密情報部)の研究施設から、開発中の秘密兵器とともにスペクターに誘拐された科学者の行方を探すのに協力してほしいと言う。
キューバに向かったボンドたちはスペクターの会合に潜入したが、裏切りにあってライターは重傷を負った。上にあげたセリフは瀕死のライターがそれでも「いい人生だよな」と言い、ボンドが「最高の人生だ」と答える印象的な場面である。
セリフが現在形であることに注意されたい。人生は死ぬまで終わらないので過去形はふさわしくないとも言えるだろう。
■ Do you know what time it is? Time to die.
映画の終盤でMI6のエージェント、ノーミ(ラシャーナ・リンチ)が悪の組織に手を貸す科学者に引導を渡すときのセリフ。
「今何時だかわかる? 死に時よ」ということで、タイトルにもかけたダジャレになっている。
Do you know what time it is? は時間を尋ねるというより、「何時だと思っているの」と、夜中に騒いでいる人や遅刻した人などを注意するときに使われる表現である。
■ I shall not waste my days in trying to prolong them. I shall use my time.
映画の終わりでボンドの上役であるMが、ボンドの人柄を表すのに引用した言葉。自分の人生を引き延ばそうとして逆に時間を使わず捨ててしまうようなことはしない、というボンドの人生観を反映した言葉だ。
このセリフでshallは主語の決意を表す意味。『荒野の呼び声』や『白い牙』で知られるアメリカの作家ジャック・ロンドンが、1916年に書いた文章からの引用なので、やや古風な言い回しである。
人生を無駄にしない、という決意を表す名言として引用されることが多く、イアン・フレミングの小説『007は二度死ぬ』で引用されていた。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』はイーオン・プロダクションズが製作する「ジェームズ・ボンド」シリーズの第25作目。シリーズのなかでもひとつの区切りとなる作品だ。
ここで紹介したセリフ以外にも過去の作品へのオマージュが随所に見られ、特に長年のファンにはたまらない作品となっている。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)