東京のシニア層、8割がスマホ利用 半数超が5年以上前から 検索などで積極活用
2021年10月17日 17:50
コロナ禍、日本の検疫は緩いと批判されている。中国の検疫は厳しい。中国入国時、さらに省に入る際の2回検疫が行われる。この際の手続きはワクチン接種やPCRの履歴等が保存されているIDチップ入りのスマホをセンサーに当てるだけだ。事務処理を行うスタッフの姿は見えない。DXの遅れた日本では事務効率上、このような厳しい検疫は不可能であろう。
スマホ格差などという言葉もある。2020年春には幻のマスク不足騒動があった。3月にマスク業界が店頭チャネルは品薄だが国内在庫は十分と発表している。ネット購入すれば簡単にマスクは手に入った。しかし、テレビではマスク購入のため店頭に長蛇の列をなす高齢者の姿が連日映し出された。高齢者が若い世代に比べネットやスマホ活用の比率が低いであろうことは容易に想像できる。それが日本のDXの遅れの原因になっているのかも知れない。
NTTドコモの調査では日本のスマホ普及率は21年1月調査で9割を超え92.8%となっている。年代別に見ると、やはり高齢層のほうがスマホ利用率は低くなっている。しかし、地域的な差があり、東京の高齢層では積極的にスマホを活用しているというデータもある。
広告代理店のメトロアドエージェンシーが東京在住の65歳以上の男女2288名を対象に「スマートフォンの所有・利用状況に関する調査」を7月に実施、9月17日にその結果を公表している。これによれば、高齢層のスマホ所有率は79.2%と約8割だ。年代別には65~69歳では86.2%と9割近く、70代で78.0%、80歳以上では61.4%となっており、決して高齢層でスマホ利用率が低いとは言えない。スマホを所有し始めた時期を尋ねた結果では、過半数を超える53.8%が「5年以上前」と答えており、多くがスマホ利用の経験は長いようだ。「2011年以前」と答えた長期ユーザーも25.8%にのぼる。
利用内容を聞くと「電話」87.5%、「メール」77.0%、「写真撮影」74.3%などスマホの基本機能が上位を占め、また「ニュースを見る」70.7%、「天気予報の確認」67.8%、「検索」63.3%などスマホの幅広い機能を活用しているようだ。ネット検索の状況を聞いた結果では、「毎日スマホで検索」は48.8%と約半数に達している。レポートでは「東京在住のシニア層は、スマホを前向きな気持ちで利用している」と指摘している。スマホ格差は確かに存在しているであろう。しかし、高齢層がスマホ利用に消極的であるという事実はないようだ。(編集担当:久保田雄城)