コモディティ・スーパーサイクルをどう乗り切る!?
2021年10月1日 18:25
●JPモルガンのアナリストが提唱
2021年に入り、様々な物価の上昇が起きている。
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2020年のコロナショックによる需要の激減での暴落から、各国の緩和策による過剰流動性相場へと移行し、株価だけでなく、原油などの商品価格の暴騰も引き起こした。
2021年2月には、JPモルガンのアナリストが、100年間で5度目となる新たなコモディティ・スーパーサイクルに入ったとの分析を発表している。
コモディティの上昇局面でのスーパーサイクルは、投資の面でどのような影響を及ぼすのか?またどのような投資をすればいいのだろうか?
●コモディティ・スーパーサイクルとは?
スーパーサイクルにはっきりとした定義はないが、数十年単位で起こる周期的な変動と景気循環のことを指す。
コモディティ・スーパーサイクルの直近の例では、1996年から2008年のリーマンショックまでの上昇局面と、2008年のリーマンショック後から2020年までの下落局面があった。
96年からの上昇局面では、イラク戦争や中国などBRICsの成長があり、2008年からの下落局面は新興国の成長鈍化、米国の利上げなどが要因と考えられる。
●新たなサイクルでの投資法は?
国際商品価格指数(BCPI)は、まだまだ2008年リーマンショック前のピーク時と比べ、3分の2までしか戻っていない。
2021年に入り、原油・木材・銅などが上昇した。
だが木材に関しては、緩和バブルとコロナ禍での郊外への住宅需要による一時的住宅ブーム、原油はアフガン情勢やハリケーンなどで上昇したこともあり、前回の上昇のスーパーサイクルとは事情が異なる部分もある。
今回のサイクルでは、脱炭素化へと時代が進んでいく周期であるため、原油などは苦しい。
銅に関しては、5G関連、太陽光発電などの需要がある分、上昇の余地がある。一方で中国の景気に左右される性質があり、この周期では中国需要は期待できないかもしれない。
上昇相場に入ったからと言って、10年間強気な投資にはならず、コモディティを同一視せず、1つ1つの商品の事情を考慮した投資が求められる。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)