FRBがテーパリング・利上げを示唆 ドル長期上昇トレンドの予兆か
2021年9月29日 17:08
28日のドル円相場は、長期的な上昇トレンドの始まりを予感させるかのように、力強く上値を切り上げている。この5営業日はほぼ垂直に陽線を連続させた。28日には111円/ドルを突破し、111円台前半~半ばの取引となっている。
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ここでドル円の週足と月足のチャートを確認していただきたい。まず週足チャートは、3週間前に長い下髭をつけた陽線から3連続で上昇中。しかも今週はボリンジャーバンドの+3α線に完全に乗った状態だ。また、月足チャートは7カ月連続で+3α線の上を、やや切り上げながら横ばいしている。テクニカル的に見ても、かなりの確からしさで長期上昇トレンドを予感させるのだ。
これまでドル円相場は5回も109円/ドルの下値抵抗線に弾かれて、109円~110.50円のボックス相場を展開してきた。8月後半にFRBによるテーパリング(量的緩和策の縮小)が示唆され、ワクチン接種普及による経済活動の活性化を受けて、そのままドル高のトレンドに突入するかに思われた。だが、焦点であった8月の米雇用統計結果が今一つ振るわない。民間部門・非農業部門雇用者数ともに予想を大きく下回った。
また、8月のISM製造業景気指数や消費者物価指数も振るわなかったことから、コロナ禍からの回復が不十分と市場は判断し、この9月はドルの価値が低く評価されてきたと言える。
だがFRBは22日のFOMC(金融政策決定会合)で、11月のテーパリング開始を示唆。利上げ開始を22年に前倒しする可能性も発表した。なお、8月の米耐久財受注速報値は予想を上回り、それに加えてオイルマネー・ドルの支持指標であるWTI原油先物が、3カ月ぶりに75ドル/バレルを切り上げてきた。2022年の金利上昇を睨んだドル買いも始まり、今後のドル円相場はドル高基調を強めていく公算が高いと見る。
目標値はズバリ120円/ドル、2015年の125.8円/ドルに迫る大相場を予感させるのだ。そこで、資産運用でドルを保有している人は、金利上昇によるスワップポイントのうまみも合わせて、そのままポジション維持がメリットだ。できれば買い足しでドルキープも良かろう。今後、日銀がマイナス金利&異次元量的緩和を見直すことは間違いないが、その時期と規模を冷静に見極めつつ、基本はポジション維持で望みたい。(記事:TO・記事一覧を見る)