東電原発事故の損害賠償額、累計10兆円超える

2021年9月28日 08:15

 東京電力が福島第一原発事故に伴い支払った賠償額は累計で今年3月に10兆円を超え、8月現在で10兆786億円に達した。

 東電は原子力損害賠償補償契約に関する法律の規定による補償金として1889億円、機構からの資金交付としてこれまでに9兆9053億円を受領しているが、今年10月末までに支払う賠償額が、これらの合計額を上回る見込みで、116回目の資金交付を要請し、今月27日までに「575億円の資金交付を受けた」と発表した。

 補償内訳では個人からの請求が延べ113万5000件、これとは別に個人のうちで自主的避難などにかかる損害での請求が130万8000件、法人・個人事業主などからの請求が52万9000件。本賠償件数と賠償額はそれぞれ101万1000件(約3兆2233億円)、129万6000件(3537億円)45万3000件(6兆3479億円)でこれに仮払い補償金(1536億円)を加えた賠償総額では10兆786億円になった。

 個人にかかる損害で最も多かったのは精神的被害に対するもので1兆910億円。検査費用などが2791億円、就労不能損害が2695億円などとなっている。

 法人・個人事業主への賠償では出荷制限指示や風評被害によるものが1兆8859億円。営業損害が5416億円、営業損害と風評被害の一括賠償が2594億円になっていた。閣議決定や放射性物質汚染対処特措法に基づく除染などに要したものは2兆9974億円だった。

 東電は「機構からの資金援助を受けながら、原子力事故の被害に遭われた方々の立場に寄り添った賠償を最後のお一人まで貫徹してまいります」としている。(編集担当:森高龍二)

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