リアルなイギリス英語に触れたい、英語上級者向けのおすすめ映画
2021年9月27日 18:56
前々回、前回と、レベル別におすすめのイギリス映画を紹介したが、今回は上級者向きの作品をいくつか紹介したい。あなたの英語レベルによっては、1度や2度見ただけではほとんど聴き取れないかもしれない。だが映画としてはどれも面白く、イギリス英語の代表的なアクセントを聴くのにも適しているため、腕に覚えのある人だけでなく、ワンランク上のレベルにチャレンジしたい人にもおすすめだ。字幕機能を駆使しつつ、ぜひ何度も繰り返して見てほしい。
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■28 Days Later
Danny Boyle監督の2002年の映画が『28 Days Later(邦題「28日後...」)』だ。人間を凶暴にするウィルスによって廃墟と化したロンドンを舞台に、主人公が生き残りをかけてさまようホラー映画である。奇しくも現実を想起させるテーマだが、映像は美しく、物語には深みがあって非常に見ごたえがある。
ホラー映画は英語学習には向かないイメージがあるかもしれない。非日常が舞台で、絶叫も多く、何より恐怖感が邪魔をして英語学習どころではないと思う人もいるだろう。だが静かなシーンが多いためセリフは比較的少なく、会話部分だけ抜き出せば学習素材にも適している。今作に関しては、使われる語彙のレベルは高めだが、アクセントは比較的聴き取りやすいだろう。
■An Education
続いては、打って変わってティーンエージャーが主人公の青春映画だ。『An Education(邦題「17歳の肖像」)』という2009年公開の作品で、1960年代のロンドンを舞台に、16歳の少女がたまたま知り合った年上男性と恋愛関係になり、未知の世界へと踏み出すという内容である。
オックスフォード大を目指し、チェロも学ぶという優等生の主人公と、娘の教育には厳しい両親という家庭環境のため、話される英語は明瞭なRP(Received Pronunciation、イギリスの標準アクセント)が中心だ。英語レベルは上級者向けではあるが、比較的聴き取りやすいだろう。60年代初頭のロンドンの雰囲気が楽しめるのもおすすめポイントだ。
■Kidulthood
最後は、2006年の『Kidulthood』というクライム映画だ。暴力、薬物、セックスにまみれたストリートギャングたちが主人公で、ウェストロンドンを舞台に彼らのリアルな生活が描かれる。美しいばかりではない、ロンドンの実情に目を開かせてくれる作品だ。
本作は、おそらく日本では劇場未公開で、日本版のDVD等も販売されていないようだ。日本語字幕が入手できないうえに、話される英語はおもにMLE(Multicultural London English、多文化的ロンドン英語)なので、初中級レベルの学習者向きではない。ただ、こういうテーマの作品に興味があって、リアルな英語に触れたいという上級者にとっては、チャレンジしがいのある作品だろう。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)