大企業の本社、首都圏外へ移転の動き加速 年内に300社超え転出超過の勢い

2021年9月14日 08:04

 東京一極集中、東京一人勝ちの状況がコロナ禍で変わる可能性が出てきた。大企業を中心に本社を東京圏から首都圏外へ移転する企業が急増している。その移転先の上位は大阪府、北海道などと、人口や経済機能の全国への分散が今後加速するかも知れない。この背景には新型コロナ感染症の予防策としてテレワークが普及し、大企業を中心にテレワークという勤務形態が常態化した企業が増加したことにある。テレワーク制度は働き方改革の中で多くの企業が制度として設けていたにもかかわらず、その利用率は数パーセント程度であったが、2020年4月の緊急事態宣言の発出で半ば強制的にテレワーク利用率が増加し、その後この制度利用の継続意向が増加したという経緯がある。

 9月3日、帝国データバンクが「首都圏・本社移転動向調査(2021年1-6月間速報)」の結果を公表している。調査結果によると、21年1月から6月の間に判明した首都圏外へ本社を移転した企業の数は186社だった。6月時点で150社超となったのは過去10年間で初めてで、レポートでは「企業本社の首都圏外への転出の動きが加速している」と分析している。このペースが続いた場合、首都圏外への本社移転は年間300社を超えると推計され、300社を超えるのは02年の311社以来19年ぶりとなる。さらに、90年以降で最多を記録した94年の328社をも超える可能性が高いとレポートは見ており、11年ぶりの転出超過を予測している。

 一方、転入社数も高水準で、同期間の首都圏への転入企業数は172社、年間で転入社数が過去最多を記録した15年に並ぶ高水準だ。これは20年中の首都圏への本社移転予定がコロナ禍で延期された反動とも考えられるものの、首都圏流入の動きが依然として強い点に変わりはない。しかし、転出の動きが流入を上回って推移しており、通年では転出超過となる見込みだ。

 転出先を見ると、「大阪府」が22社で最も多く、次いで「茨城県」の19社、「静岡県」16社、「北海道」14社と続いており、全国に分散しているようだ。レポートでは「今後は、インターネットを介した業務が可能なサービス業やスタートアップのほか、大手企業でもテレワークやジョブ型雇用の導入と併せて本社のあり方を見直す機運が高まるとみられ、21年後半から来年にかけて、首都圏外への本社移転を実施・検討する企業が増加する可能性がある」と分析している。コロナを契機に日本社会は大きく変容しそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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