経営層・管理職の7割超、「DXとは何か」説明できず 推進企業は経営層がリーダーシップ発揮
2021年9月8日 08:12
新型コロナの流行は日本のITが世界から大きく遅れをとっている事実を見せつけた。オンライン診療が一般的になっていたならば自宅療養者の病状が急変し手遅れになるなどということは無かったかも知れない。情報通信技術の普及は社会のあり方を大きく変容させる。これと同じように企業のIT化は企業組織の構造を大きく変容させ、業務モデル、作業モデル、そしてその構成を変容させるが故に企業戦略のあり方自体を変容させる。既に世界は情報の電子化のプロセスを終えDX(電子情報による構造の変容)の段階にある。日本でもDXの推進は急務であるが、日本は未だデータの電子化の段階であり、それ故に本来DXのリーダーシップを取るべき組織の幹部でさえDXという概念を十分に把握できていないようだ。
SaaSプロバイダーのドリーム・アーツが、「『DX』本来の意味が世の中に正しく理解されているのか疑問が残る」という問題意識から、7月下旬に大企業の経営層・役職者1000名を対象に「DXとデジタル化の取り組みに関するインターネット調査」を実施し、8月24日にその結果レポートを公表している。これによれば、「DXに取り組んでいる企業」は「全社的に取組中」が34%、「部分的に取組中」が25%、合計59%がDX・デジタル化に取り組んでいるようだ。また、「業務のデジタル化に取り組んでいる企業」は「全社的、部分的」を合わせて64%となっている。
DX・業務のデジタル化の取り組みの最重要テーマついては「デジタル技術を活用したビジネスプロセス改革」と「ペーパーレス化による生産性の向上」が26%、続いて「デジタル技術を活用したビジネスモデル変革」24%となっているものの、最多は「わからない」の29%で、DXに取り組んでいるものの、その内容について把握していない経営層・役職者が少なくないようだ。「DXとデジタル化の違いについて説明できるか」という質問に対しては73%が「説明できない」と回答している。
DXに取り組んでいる企業のうち「DXの成果が出ている」と回答した者では、「経営層からのDX方針が明確に出ている」(80%)、「経営層がデジタルの価値をよく理解している」(69%)、「経営層のなかにDXの責任者がいる」(65%)に同意する回答の割合が高く、レポートでは「DXの成果が出ている企業では共通して、経営層のリーダーシップが発揮されているという特徴がある」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)