菅首相退陣で株価は上昇トレンドか
2021年9月6日 16:17
●菅首相退陣へ
菅義偉首相は3日、自民党総裁選(9月29日実施予定)に出馬せず、総裁の任期満了と共に首相を辞任する考えを示した。
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次期首相や経済対策への期待から、日経平均・TOPIXともに大きく上昇した。日経平均は3日に500円以上値を上げ、6日も同じく続伸した。
投資家からは、菅首相の支持率低下により、政治停滞が懸念され株価も伸び悩んでいたが、停滞ムード払しょくへの期待が高まっている。
●首相交代と株価
記憶に新しいのが、昨年8月28日の安倍前首相の辞任劇だった。
日経平均は一時600円下落し、ドル=円も106円後半から105円前半まで下落した。だが下落は一時的で、その後の総裁選で菅氏が選出されると、規制改革などを掲げるスガノミクスへの期待感から年明けには日経平均は約30年ぶりの3万円台を記録した。
首相の交代は、政治の不透明感を嫌って売られることが多い。だが2012年には、当時の野田佳彦首相が安倍晋三自民党総裁との党首討論で解散に言及した時、8000円台で低迷していた日経平均が、民主党政権での閉塞感打破への期待で急上昇した。
その後、12月の衆院選で安倍自民党が圧勝し、アベノミクスへの期待からさらに上昇、ドル=円も120円台を記録するなど、円安が進んだ。
●期待感が先行し過ぎとの声も?
一方で、6日には日経VIが20ポイントを超えるなど急激な上昇に対する警戒感も根強い。
海外株が上昇する中、日本株は出遅れが目立っていた。上昇余地が元々あったところでの今回の退陣劇なので、単純に出遅れの穴埋めという見方もできる。
2012年のアベノミクス相場の時と大きく違う点は、選挙の勝敗予想と次期政権である。当時は、解散が決まった段階から衆院選圧勝、安倍自民政権誕生のシナリオが描けた。
今回は菅首相の退陣が決まっているだけで、次期総裁も決まっておらず、その後に行われる衆院選の結果も不透明である。
いずれにしても、結果次第で大きく動くことも考えられる。
第1次安倍政権後、毎年首相が変わるという時期があり、今回もわずか1年での首相交代は、本来なら投資家から嫌気される“不透明感”であり、油断はできないかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)