【どう見るこの相場】またまた上値が重くなり商いも細る夏枯れの名残り相場となるのか?
2021年8月24日 07:40
【日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部】
■夏の名残り相場は消去法で「オータニさ~ん」などレガシィ関連銘柄に癒し系投資
消去法でもう「オータニさ~ん」しかないのではないか?米メジャーリーグ、エンジェルスの大谷翔平選手である。8月18日の対アストロズ戦では、打っては40号目のホームランとリーグのトップを独走し、投げては8勝目とリアル二刀流の実力をいかんなく発揮した。早くも今年のMVP(最優秀選手)候補のトップにノミネートされ、投手部門の最高の名誉となるサイ・ヤング賞の受賞も観測された。この夏、日本人選手としてばかりか大リーガーとしても金字塔を打ち立てレガシィ(遺産)となること請け合いである。
一方、8月8日に閉幕の東京オリンピックは、後年どのようなレガシィとして記憶に残るか気になる。新型コロナウイルス感染症の感染爆発と線状降水帯停滞による自然災害頻発のなかでの競技進行で、テレビ観戦した国民の多くもメダルラッシュとなった日本選手の活躍に素直に感動するには少し抵抗感を覚えたはずだ。メダリストたちも、インタビューではコロナ禍下での五輪開催の前置きをしてからで、手放しの喜びの声とは聞こえなかった。
開幕前に発出の東京都などへの4回目の緊急事態宣言は、期限の8月22日をさらに9月12日まで延長し、対象地域も13都道府県に拡大された。菅義偉首相は、開幕前に開催の意義を問われ、1964年の東京オリンピック当時の金メダルに輝いた「東洋の魔女」の活躍に感動したと自体験を披露したが、今回は、過去最高のメダル獲得に沸いた日本選手の活躍か、それとも感染爆発や自然災害頻発のなかでの開催とするのかは見通すのが難しい。
東京オリンピック閉幕後も、直後に始まった夏の高校野球選手権大会は、天候不順による順延と選手の感染確認による出場辞退も重なり無事に決勝戦まで日程を消化できるか心配になる。また明24日に開幕する東京パラリンピックも、国内の感染状況は、東京オリンピック開幕時より悪化しており、それでなくても感染リスクの高い出場選手の健康状態が心配される。そんなこんなで活躍を手放しで喜べるのは、冒頭に記したように消去法で「オータニさ~ん」しかないのである。
相場全般も、リード役の米国市場は、前週末20日にニューヨーク工業株30種平均がハイテク株高を中心に225ドル高と4日ぶりに反発したが、FRB(米連邦準備制度理事会)によるテーパリング(量的緩和の縮小)早期化懸念とデルタ株による新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴う景気回復鈍化不安は尾を引いたままのようである。東京市場も、週明けはこの米国株高への追随期待の打診買いからスタートしようが、そのまま年初来安値水準からの本格反騰につながるのか、それとも買い一巡後に「制御不能」、「災害級レベル」とされる新型コロナウイルス感染症の日々の新規感染者数の公表とともにまたまた上値が重くなり商いも細る夏枯れの名残り相場となるのか、前日22日に投開票の菅首相のお膝元の横浜市市長選挙で、同首相の全面支援候補が落選したことに伴う政局混迷懸念やアフガニスタン政権崩壊による地政学リスクも重なってどちらにも肩入れは難しい。
もし残りの夏相場に大きな期待は掛け難くなるとしたら、ここは真夏の波乱相場を解きほぐし次の秋相場に備えて「オータニさ~ん」関連株や、もしかして残るかもしれない東京オリンピックの「レガシィ」関連株に癒し系投資をするのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)