映画『整形水』日本語吹替版の制作決定 キャストに沢城みゆきなど

2021年8月20日 17:23

 9月23日に公開されるアニメーション映画『整形水』の日本語吹替版制作が発表された。同作は「整形」をテーマにした韓国発のサイコスリラーで、これまで世界各国の映画祭で上映され話題を呼んでいる。

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 吹替版には主人公役の沢城みゆきをはじめ、諏訪部順一、上坂すみれ、日野聡らがキャスティング。ベテラン声優陣による吹き替えで、より幅広い層が楽しめる作品となりそうだ。

●韓国発の人気Web漫画が原作

 『整形水』の原作は、オ・ソンデによるWeb漫画『奇々怪々』。韓国の漫画サービス「NAVERWEBTOON」で好評を博しており、日本でも「LINEマンガ」にて独占配信されている。

 物語は、顔を浸すだけで思い通りの容姿になれる水「整形水」を手に入れた主人公・イェジが、次第に悲劇へと巻き込まれていくというもの。美容整形大国・韓国らしい着眼点で、社会の歪みをスクリーンに映し出す。

 監督のチョ・ギョンフンは、本作でデビューを果たす期待の新人。『パラサイト 半地下の家族』(2019年、ポン・ジュノ監督)以降、活気あふれる韓国映画界をアニメーションで牽引していく。

●「整形手術」を描いた名作映画

 「美」への執着心がもたらす悲劇は、しばしば映画作品の題材となってきた。

 ペドロ・アルモドバル監督の『私が、生きる肌』(2011年)は、亡き妻を蘇らせようとする整形外科医の物語であった。倫理を逸脱した医師の行動は、アルモドバル監督らしい「究極の愛」を感じさせてくれる。だが、やがて明らかにされるのは目を覆いたくなるような真実だ。

 愛といえば、鬼才キム・ギドク監督の『絶対の愛』(2006年)も忘れてはならない。同作では、恋人のために整形手術を受け、徐々にアイデンティティを失っていく女性の姿が描かれた。「美しくなって本物の愛を手に入れたい」という欲望は、最後に皮肉な結果をもたらすことになる。

●美への飽くなき欲望

 アルモドバルどギドク。2人の監督は「整形」というモチーフを通して人々の欲望を問い直した。「美しくなりたい/させたい」という願いは誰しもが持っているはず。だが、現代社会は美への欲望を無限に増幅させてはいないだろうか?

 『整形水』の主人公がたどる運命も、どうやら悲劇的なものになりそうだ。はたして最後にどんな結末が待ち受けているのか。ぜひ劇場で確かめてもらいたい。

 アニメーション映画『整形水』は、9月23日より全国公開される。(記事:村松泰聖・記事一覧を見る

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