【映画で学ぶ英語】続・『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の名セリフ5選
2021年8月19日 08:08
前回から続いて、今回は8月6日に公開された映画『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の後半から、印象に残る名セリフを5つ取り上げる。映画のあらすじについては前回の記事を参照されたい。
【前回は】【映画で学ぶ英語】『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の名セリフ5選
■This is my world.
数十年ぶりに再会した兄・ドムに弟のジェイコブが、スパイ・ゲームでは自分に勝てまい、と言うセリフ。
ここでのworldは「個人が生活・活動する場としての世界」を意味する。「これが俺の人生だ」とも訳せるだろう。
強盗のドムが白昼堂々、集団でトラックを襲撃するような強引な性格であるのに対して、スパイのジェイコブは単独で隠密行動を好む。こういった兄弟の性格の違いをたった一行で印象づける名セリフだ。
■No one outruns their past. And yours just caught up to you.
映画のクライマックスの直前でジェイコブを捕まえたドムが、過去からは逃れられないぞ、と言うセリフ。さらに「お前の過去は今お前に追いついた」と畳み掛けている。
ここで使われているcatch up (to, with)は「追いつく」という意味のイディオムで、追いつく対象を指す前置詞はtoかwithを使う。アメリカ英語では上のセリフのようにtoを使うことが多い。
さらにcatch up withだと「犯人などを逮捕する」という意味にもなる。
■I never thougt I’d lose her to love.
ワンダーウーマン役で知られる女優のガル・ガドット演じるジゼル・ヤシャールは、シリーズ4作目『ワイルド・スピード MAX』で初登場以来、人気のある女性キャラクターだった。上にあげたセリフは彼女が恋人・ハンの命を救うためにシリーズ6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』で犠牲になったことを指している。
「愛のために彼女を失うとは思っていなかった」という意味で、I’dはthoughtに合わせてwillを過去形にしたwouldの省略形。英文法の基本で重要な「時制の一致」の典型例である。
■My death became the best way to stay alive.
「ジェットブレイク」の最大の見どころのひとつは、ファンの熱烈な要望に応えてアジア系のキャラクター・ハンが復帰したことだ。
ハンはシリーズ7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』でジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウに殺されたはずだった。だが、「ジェットブレイク」でドムたちの前に姿を現した彼は、「死んだことにしておくのが、生き残るのに一番良い方法だった」と打ち明ける。
このセリフで使われているstay aliveというイディオムは「生き続ける」という意味。動詞stayが補語や前置詞句を伴って「ある状態のままでいる」という意味で用いられる例である。
■Someone once gave me a 10-second car as a second chance.
「ジェットブレイク」には、2001年に公開されたシリーズの記念すべき第1作『ワイルド・スピード』へのオマージュが全編に散りばめられている。
上にあげた「ジェットブレイク」大詰めの名セリフは特に第1作のラストシーンへのオマージュになっている。
1作目のラストで警察に捕まりそうになったドムに、彼と親しくなった警官・ブライアンは自分のトヨタ・スープラの鍵を渡して彼を逃がす。車の鍵を渡すことが、新しいチャンスと心の絆の象徴となった。
10-second carとは、停止状態から発進して4分の1マイル(約400メートル)の直線コースを走りきる時間を競うドラッグ・レース(ゼロヨン)に使う車のこと。前述のブライアンの94年式スープラもレースのためにドムたちが改造した車だった。
ちなみにブライアン役を演じたポール・ウォーカーは2013年に交通事故で亡くなったが、彼のキャラクターは「ワイルド・スピード」シリーズのなかで生き続けている。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)