青山商事、廃棄革活用の「スニーカー」発売 サステナブル商品続々と

2021年8月17日 08:25

 青山商事は16日、革靴の製造時に出る廃棄革を活用した「リサイクルレザースニーカー」の販売開始を発表した。販売は、全国のザ・スーツカンパニーおよび公式オンラインショップで、8月16日から開始した。青山商事は、サステナブルな素材を活用し、かつ多様化・カジュアル化するビジネススタイルへの対応ができる商品として、提供していくという。

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 リサイクルレザーが使われているのは、足の甲を覆うスニーカーの上半分。一般的な革靴製造では、1枚の革から使用できる箇所を選んで裁断するため、使われなかった部分は廃棄処理される。リサイクルレザーは、廃棄予定だった端切れの革を粉砕して再加工。さらに表面にコーティング加工し、スニーカーのレザー部分に活用している。

 最近では日本でも、ビジネスシーンでスニーカーを合わせるスタイルが取り入れられつつある。その流れを受け、リサイクルレザースニーカーもビジネスでの利用を想定。黒・白カラーで2種類(コートタイプ・スリッポンタイプ)のシンプルなデザインにしている。いずれのタイプも価格は9,900円だ。

 青山商事が2021年度に入って発売を開始したサステナブル関連の商品は、本商品で4品目。4月22日にはエコバッグに変身するジャケット、5月27日には、再生ポリエステルを使用したポロシャツ、7月27日には植物由来の成分を使用し製造したレザーベルトの販売を開始している。

 ジャケットは、背中にあるファスナーから中袋を取り出し、ジャケット本体部分はバック内に収納して使う。生地に再生素材等は使われていないが、買い物用のマイバッグとして活用できる。ポロシャツは、工場で衣類生産時に端切れとして出た廃棄ポリエステル生地を再生して作られている。ストレッチ性・吸水速乾の機能もある。ベルトは、皮革の鞣し工程で通常では使用される化学薬品を使わずに、植物由来のタンニンを使用。安全性の高い製品として世界的な認証を受けている。

 青山商事の2021年3月期連結決算は、ビジネススタイルの変化やコロナ禍でスーツ・フォーマル市場の縮小が加速し、売上高は前期比562億円減の1,614億円、営業損益は144億円の赤字(前期は8億円の黒字)だった。同社の柱であるビジネスウェア事業が、売上高は同157億円減の1,098億円、営業損益ば157億円の赤字(前期は3億円の黒字)となり、大きく響いた。

 決算と同時に発表された中期経営計画『Aoyama Reborn 2023』では、ビジネスウェア事業の変革を「スピード感を持って」取組む最重要課題とし、ほかサステナブルへの取組みとグループ経営の推進を掲げている。

 特徴的なのはビジネスウェア事業の変革に向けたリブランディングだ。リブランディングで目指す姿は「ビジネスのパフォーマンスを上げるパーツを提供する会社」。ビジネスパーソンのモチベーションを上げたり、効率化につながる商品の提供を目指すという。今回販売開始となったリサイクルレザースニーカーや、既存のサステナブル商品はこうした流れの一端といえる。

 リサイクルレザースニーカーなどの継続的な新しい価値提供の取組みは、スーツ・フォーマルブランドという青山商事のイメージを徐々に変えていく。青山商事の中期計画では、2023年度計画値でも収益構造は大きく変わらず、ビジネスウェア事業が売上高の7割を占める。しかしその内容は多様化する方向にある。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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