新興市場見通し:マザーズ年初来安値も視野に、直近IPO銘柄などの急落重く
2021年8月7日 14:45
*14:45JST 新興市場見通し:マザーズ年初来安値も視野に、直近IPO銘柄などの急落重く
今週の新興市場では、マザーズ指数が5週連続の下落となった。日足チャートでは5日移動平均線に上値を抑えられる形での下落基調を脱せず、値動きの悪さを嫌気した個人投資家の物色は上値追いとなった海運株や決算を受けて値幅の大きく出た主力大型株に向いた。7月後半からのIPO銘柄を中心とした株価急落で損失拡大に苦しむ個人投資家もいまだ多いという。8月5日のマザーズ売買代金は959億円で、コロナショック直後の昨年4月13日以来およそ1年4カ月ぶりの1000億円割れ(終日売買停止となった昨年10月1日を除く)。また、この日のマザーズ指数は終値ベースで今年2番目の安値水準となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+2.0%であったのに対して、マザーズ指数は-1.9%、日経ジャスダック平均は-1.3%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のフリー<4478>が同0.7%安と伸び悩み、ウェルスナビ<7342>は同6.3%安と軟調。弁護士ドットコム<6027>は決算を受けて売りが広がり、同22.5%安となった。売買代金上位では7月上場のブレインズテクノロジー<4075>が大きく下落し、同じく7月上場組のサーキュレーション<7379>は週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、メルカリ<4385>が同4.9%高と堅調で、決算が好感されたJMDC<4483>は同9.6%高、Appier Group<4180>は同13.7%高と大幅に上昇。グローバルウェイ<3936>は前の週に続き上昇率トップとなった。ジャスダック主力では東映アニメーション<4816>が同3.3%安、ワークマン<7564>が同4.8%安と軟調。従前賑わっていたシンバイオ製薬<4582>とテクノホライゾン<6629>は決算発表後に急落し、週間のジャスダック下落率上位に並んだ。一方、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同4.0%高と堅調。ニッポン高度紙工業<3891>は決算を好感した買いが入り、星医療酸器<7634>などが上昇率上位に顔を出した。
来週の新興市場では、マザーズ指数が5月17日に付けた年初来安値(1040.58pt、取引時間中)更新を視野に入れてくることも想定しておきたい。QUICK社の「IPOインデックス(加重平均)」はマザーズ指数に先んじて年初来安値を更新。従前賑わっていた直近IPO銘柄やシンバイオなどの相次ぐ急落は個人投資家の資金余力を大きく低下させていると考えられる。JMDCのようにマザーズ主力で好決算が出てきているのは明るい材料だが、米7月雇用統計が強い内容だったことで、目先はバリュー(割安)株優位が意識される可能性もある。
来週は、8月10日にGMOフィナンシャルゲート<4051>、ヘリオス<4593>、ワークマン、12日に日本マクドナルドHD<2702>、メルカリ、そーせいグループ<4565>、13日にChatwork<4448>、フリー、メドレー<4480>、ウェルスナビなどが決算発表を予定している。メルカリを筆頭にマザーズ指数への寄与が大きい銘柄が多く出てくるため、これらの決算は指数の方向感にも影響しそうだ。
IPO関連では、ジェイフロンティア<2934>が8月12日からブックビルディング(BB)期間に入る。既にBB期間を終えたフューチャーリンクネットワーク<9241>の需要状況を見ると、7月IPOが全て公開価格を上回る初値となったこと、8月のIPOは4社にとどまることなどから、個人投資家の参加意欲はまずまず旺盛のようだ。《FA》