コーヒー豆相場が上昇 今後の行方は?
2021年8月2日 16:39
●6年半ぶりの水準
ニューヨーク市場のコーヒー豆(アラビカ種)の先物価格が、2015年1月以来の高値を付けた。昨年の6月から比べると2倍近く値上がりしたことになる。
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世界のアラビカ種シェアの半分を持つブラジルが、干ばつや霜害に見舞われていることが主な原因と見られている。
需要面でも、コーヒー消費の4割を占める欧米で新型コロナウイルスのワクチン接種によって、カフェや飲食店が再開したことも追い風となっている。
一方で、ここでもコロナ禍で投機マネーが流れ込んでいることも指摘されている。
コロナ禍ではワクチン接種後の好転も含め、ガソリンだけでなく、銅、木材など、需給バランスの不均衡に加えて、投機マネーにより先物価格の上昇で物価の高騰を招いているという構図が続いている。
●コーヒー豆の先物市場
コーヒー豆は、ニューヨーク取引所とロンドン取引所で先物取引が行われている。
今回高騰したアラビカ種は、ブラジルで約7割が生産されており、ニューヨーク取引所に上場している。
もう1つはロブスタ種でロンドン取引所に上場している。ロブスタ種はベトナム、インドネシアなどのアジア地域と、アフリカの一部地域で生産されている。
ロブスタ種は病害虫に強く、インスタントコーヒーに使われる。ロブスタ種も昨年6月から約1.6~1.7倍上昇している。
●今後の見通し
アラビカ種は飲食店で主に使われており、欧米の経済再開から、今後はさらに需要が増えるだろう。
今回の霜害は1994年以来とも言われており、葉や枝も被害を受けたようで、生産高が10%失われると見られている。他にも海上輸送のコストも上昇しており、価格の上昇にさらに追い打ちをかけそうだ。
小売店は販売価格を見直さざるを得ない状況だろう。
だが急激な相場上昇は急落を招くリスクもあり、1ポンド=200セントを記録してから1日で約10%下落している。
銅でも木材でも経験したように、コロナ禍での過剰流入相場にありがちな投機マネーの投げ売りは必ずある。コーヒー豆も需給の不安定が続くとは言え、高値掴みには警戒が必要だろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)