実質失業者、女性92万人、男性40万人 野村総研が推計
2021年7月21日 09:36
直近の労働力調査によれば、5月の完全失業者数は211万人となっている。しかし、以前より指摘されてきたように、把握しきれない実質的失業者はこの数倍存在するのではないかと言われている。コロナ禍で失業者は増え続けているが、その多くが非正規雇用で、しかも女性が大半を占めている。明確な離職にまでは至らなくとも休業手当未受給の状態でのシフトの極端な減少、自宅待機など十分な収入が得られず実質的に失業状態にある者は数多く存在し、野村総研(野村総合研究所)の試算では、その数は130万人を超えると見込まれている。
7月16日、野村総研が5月下旬に全国の20~59歳のパート・アルバイト就業者6万7684人を対象に実施した調査の集計レポートを発表している。パート・アルバイトで「新型コロナ前よりシフトが減少している」者の割合は、今年2月に実施された同調査の結果から大きな変化はなく6232人となっている。調査対象の女性のうち「新型コロナ前と比べてシフトが減少している」と回答した者は27.3%、うち「5割以上減少している」者の割合は44.4%で、対象女性全体の12.1%に達する。男性では「シフトが減少している」者は34.9%で、うち「5割以上減少」の者は46.1%、対象男性全体の16.1%となっている。
レポートでは、パート・アルバイトのうち「シフトが5割以上減少」かつ「休業手当を未受給」の者を「実質的失業者」と定義し、その数について労働力調査データを用いて推計しているが、その結果、5月での全国「実質的失業者」は、女性が92.2万人、男性が39.6万人で合計131.8万人と推計された。女性だけで92万人超とコロナ不況は女性不況と言われる所以を数字で表している。
新型コロナ以降シフト減が続いている者は女性46.8%、男性47.9%と2人に1人、うち女性68.2%、男性68.9%、約7割が休業手当や休業支援金を未受給の状態にある。「新しい仕事を探したい」と回答した者は、女性54.3%、男性64.7%だが、実際に探している者は女性16.1%、男性24.3%、求職期間は2割超が「6か月またはそれ以上」と回答しており求職期間は長期化している。このため「収入を得られない期間が長期化」し、女性30.7%、男性29.6%が求職活動を始められないと回答している。レポートでは、シフト減の状況で生活困窮が長期化している者に、生計を再建・維持できるよう、「就労移動(転職)を促すための支援策の拡充が急務」だとまとめている。(編集担当:久保田雄城)