【編集長の視点】デンカは年初来安値から底上げ、3期ぶり最高純益を見直し緊急事態宣言需要期待もオン
2021年7月14日 07:52
【株式投資情報編集長・浅妻昭治】
デンカ<4061>(東1)は、7月9日の取引時間中につけた年初来安値3575円から底上げしている。今2022年3月期の純利益が、3期ぶりに過去最高を更新することを見直し売られ過ぎ修正の割安株買いが再燃した。また昨7月12日から8月22日まで東京都に対して新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防のために4回目の緊急事態宣言が発出されており、同社の抗原迅速診断キット「クイックナビ」や変異株検出システムなどへの関連需要が強まるとして業績上ぶれ期待も高めている。
■「クイックナビ」に加え変異株を複数検出のシステムも開発
同社の今2020年3月期業績は、売り上げ3560億円(前期比3.0%増)、営業利益420億円(同20.9%増)、経常利益390億円(同21.3%増)、純利益290億円(同27.3%増)と増収転換・連続増益が予想され、純利益は、過去最高の250億4600万円(2019年3月期)を更新する。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染拡大)の影響を受けた世界の経済活動が徐々に正常化し、前期に落ち込んだクロロプレンゴムの需要が回復し、xEV・半導体・5G通信・再生エネルギーなどの環境・エネルルギー分野の需要が続伸し、昨年8月に発売した「クイックナビ」の寄与で前期に売り上げが前々期比20.9%増の429億円4700万円と伸びたライフイノベーション部門も、変異株ウイルスの検出用試薬の発売なども上乗せとなり順調に推移することなどが要因となる。配当は、年間135円(前期実績125円)への増配を予定している。 この診断キットは、「クイックナビ」加えインド株などの複数の変異株を同時に検出可能な検出システムや試薬を開発・発売し、昨年11月にはワクチン原液製造の新棟を約160億円投資して竣工させ、設備能力を倍増させ、今年4月に米国向けにも「クイックナビ」を供給して米国市場に本格参入した。新型コロナウイルス感染症の新規感染者は、インド株の感染拡大によりまたまた拡大して、東京都に4回目の緊急事態宣言が発出されたことから、前期と同様に業績上ぶれも期待させる。
■PER11倍、配当利回り3.6%と売られ過ぎでまず半値戻し目指す
株価は、昨年11月の前期業績の上方修正で3400円をつけ、12月の感染拡大の第3波とともに「ウイズ・コロナ」人気を高めて4375円高値まで買われ、いったん3955円まで調整したが、第3回目の緊急事態宣言発出で年初来高値4660円まで再人気化した。今期業績の発表では、利益水準が市場予想を下回るとして年初来安値3575円まで売られ底上げに転じたが、まだPERは11倍台、年間配当利回りは3.64%と売られ過ぎを示唆している。まず年初来高値から同安値への調整幅の半値戻し水準の4118円を目指そう。(日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集長・浅妻昭治)