OPECプラスの協議難航、さらなる原油高か
2021年7月5日 16:44
●OPECプラスの協議が難航
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟産油国で構成するOPECプラスによる、8月以降の協調減産の協議が難航している。
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主要メンバーであるアラブ首長国連邦(UAE)が合意に反対したことで暗礁に乗り上げた。
協議の難航が伝わると、WTI原油先物価格は7月1日、2018年10月以来の1バレル=75ドルまで上昇した。
サウジアラビアが合意を呼びかけているが、合意への道筋は不透明となっており、先送りが続けばさらなる原油高も予想される。
●鍵を握るUAE
ロイター通信によると、UAEは8月以降の減産規模の縮小には同意しているが、協調減産そのものを2022年4月以降も継続すべきという決定については、別の会合に先送りすることを示唆している。
OPECプラスは、8月から12月まで日量200万バレルを減産し、さらに減産期間を2022年末まで延長するという提案をしていた。
UAEからすると、2018年基準の減産枠を不服としており、他国よりも減産比率が高くなっていると主張している。
一方でサウジアラビアは、減産の成果を強調し、自主減産で犠牲を払ってきたことも主張している。UAEとサウジアラビアの溝は深く、解決の糸口が見えない。
●原油高はさらに続くのか?
新型コロナウイルスの影響で行動制限が続く国もあるが、米国のように完全な経済再開に向かっている国が多く、米国の原油在庫は減少していることも明白となっている。
一方で、米国ではインフレへの懸念も強まっており、当然原油高の上昇も注視されている。
減産の合意だけでなく、新大統領が就任にしたイランと、同じく新政権が誕生したイスラエルとの緊張状態がどうなるかも、原油価格にとっては大きな材料となる。
需要が回復に向かう一方で、供給側に問題があれば原油高の材料となる。供給の逼迫は、さらなる原油高につながることも避けられない。
OPECプラスでの合意が出来なければ、厳しい減産がさらに続くことになり、供給が逼迫からさらなる原油高になる可能性もある。5日から始まる協議の再開には注目が集まっている。
世界的な緩和バブルにも出口が見えてきており、投機マネーの動きも影響を与えそうで、原油価格は予断を許さない状況となっている。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)