座位時間が長いほど死亡率上昇 運動量を増やしても抑制されない 京都府立医科大
2021年6月28日 08:15
京都府立医科大学の小山晃英助教らの研究グループは、生活習慣病予防対の基礎資料の提供を目的とした研究として、座っている時間と死亡率の関係を調べたところ、座っている時間が長いほど死亡率が増加するとの研究成果を発表した。座位時間と死亡率の相関関係は、余暇の身体活動量を増やしても抑制されなかったため、長い座位時間が及ぶす死亡率の上昇は運動時間で相殺できるとする既存研究の成果をかき消す形となった。
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研究は、日本人6万4456人を対象に行い、平均7.7年間の追跡調査でデータを取得した。データ解析は、国際標準化身体活動質問票をベースとした質問票を用いながら、日中の座位時間の長さと、全死亡率の関係を、高血圧と脂質異常症、糖尿病の3つの生活習慣病の有無に分けて検討した。
その結果、日中の座位時間が2時間増えるごとに、死亡率が15%増加することが判明。生活習慣病の有病者では、高血圧で20%、糖尿病で27%、脂質異常症で18%の死亡率増加が認められた。
さらに、座位時間と死亡率の関係は、被験対象の3つ全てを保有している人で42%も死亡率が高くなるなど、生活習慣病の保有数に応じて大きくなることも明らかになった。
長い座位時間に伴う死亡リスクを運動によって相殺できる既存研究を検証するため、死亡率を余暇時間中の身体活動の量に応じて、4群に分けて解析。すると、余暇時間の身体活動が増えても、座位時間による死亡率の減少効果は少なかった。
これらの研究結果は、長い座位時間が早期死亡リスクの上昇に寄与するという既存研究を強化する形となった。例えば、国立がん研究センターが1990年と93年に全国10府県の高齢者約3万7000人を対象に10年間行った調査では、長座位時間群が、短座位時間群に比べて、男性で1.23倍、女性で1.34倍死亡率が高くなることが明らかになっている。
海外研究でも同様の成果が出ており、ノルウェー・スポーツ科学大学のウルフ・エクランド教授は、座位時間が長いほど早期死亡リスクが高まる研究成果を2019年に発表している。
エクランド教授の研究では、高レベルの身体活動を約1時間継続すると、8時間以上の座位による死亡リスクを除去できることも同時に明らかになっていた。しかし、今回の京都府立医科大の研究では、身体活動量の増加が座位時間に及ぼす健康影響の減少効果はわずかであることが判明。後発研究は今後、身体活動量の多寡ではなく、連続した座位時間をテーマに行われることが予想される。
オーストラリアの研究機関の調査で、日本の成人が平日に座っている時間は1日7時間と、先進20カ国で最も長いことが明らかになっている。健康リスクの増大が危惧されているだけに、研究グループは、「こまめに動くことで連続した座位時間をなくす心がけをもつことが重要だ」とし、運動習慣の啓発を呼びかけるとしている。(記事:小村海・記事一覧を見る)