パナソニック、テスラ株売却の思惑とは

2021年6月25日 17:03

●パナがテスラ株を全て売却

 パナソニックは同社保有の米電気自動車大手・テスラ社の全株式を、2021年3月までに売却していたとが、25日に提出された有価証券報告書で判明した。

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 読売新聞などの報道によると、売却額は約4000億円とみられており、売却資金は、他の成長分野に投資することを検討していると言う。パナソニックは、テスラとの提携を解消することは否定している。

 この報道を受けて、パナソニック株は5%近く上昇。投資家から好材料と受け止められているが、両社の関係性に変化はあるのだろうか?

●パナとテスラの関係

 パナソニックとテスラは、2010年から資本提携を結んでいる。

 パナソニックのEV(電気自動車)バッテリーの主要な供給先がテスラであり、米・ネバダ州にある50億ドル規模の電池工場「ギガファクトリー」で提携しており、両社は蜜月の関係にある。

 提携してから、しばらく赤字が続いていた。特に、太陽電池事業では苦戦を強いられており、2020年2月に提携を解消している。テスラ向け事業全体は2019年度第3四半期からようやく黒字化した。

 しかし、2021年3月にはパナソニックの津賀CEO(当時)から、テスラ依存となっていることを危惧するコメントがあり、他社への供給も開拓する必要があると言及していた。

●今後の関係に影響するのか?

 2010年の提携時には株式140万株をわずか約24億円で取得したが、今回4000億円で売却したということは、投資としては大成功だったと言える。

 テスラは2020年から株価が急上昇し、2021年初頭まで10倍以上まで高騰しており、パナソニックからすると利益確定ということだろう。

 パナソニックは、米ソフトウェア大手のブルーヨンダーを完全子会社するための資金に充当するという報道もあり、新たな投資先を開拓する目論見があるのだろう。

 津賀前CEOが話していた通り、テスラ依存から脱却するという姿勢の表れでもあるだろう。両社の関係にひびが入ることも懸念する声もあるが、現在の所は、大きな影響はなさそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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