テスラ、Model S「Plaid+」を生産中止へ マスク氏がツイート

2021年6月8日 07:58

 テスラのイーロン・マスクCEOは6日、同社が販売するModel Sの上位車種「Plaid+(プレイドプラス)」の生産を中止すると、自身のTwitterで発表した。Model S Plaid+は、520マイル(832km)の航続距離を持つ、テスラの最高級モデルとして登場するはずだった。

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 マスクCEOは6日のツイートで、Plaidが非常に良いクルマのため、Plaid+は必要なくキャンセルしたと述べている。

 実は、テスラは3月にModel S Plaid+の販売価格を1万ドル値上げし、15万ドルにするとしておきながら、5月には公式HPからその注文ページが削除されていた。

 マスクCEOが絶賛しているModel S Plaidのスペックを見ると、航続距離は推定628kmのバッテリーを搭載し、1020馬力を発生させて0-100km/hを2.1秒で加速させる。

 これだけの性能があれば、確かにそれ以上の性能は必要ないだろう。そしてそれを扱えるドライバーも限られることは間違いない。

 だが今回の生産中止は、クルマの性能云々の問題ではなく、実はサプライチェーンや多くの自動車メーカーが直面している、コンピューターチップ不足が大きく関わっているとみられる。

 4月の2021年第1四半期の決算時に、マスクCEOは次のように述べている。「第1四半期には、テスラが経験したことがない最も困難な、部品全体のサプライチェーンに大きな問題がいくつかあった。そして半導体問題にも腹を立てている。」

 サプライチェーンの価格上昇により、米国において人気があるModel 3とModel Yの価格を数回上げている。また両モデルでは、レーダーセンサーと助手席のランバーサポートの装備が外されている。

 Model S Plaid+に話を戻すと、開発も進められ予約まで開始されていたクルマが突如発売をやめるというのは、非常に珍しいことだ。また6月3日には、カリフォルニア州フリーモントにある同社工場でModel S Plaidの納車式のイベントを行う予定であったが、これも6月10日に延期されている。

 世界的な半導体不足は、多くの自動車メーカーを悩ませているが、テスラはその問題解決に向けて取り組んできた。だが新型モデルの投入の見送りや装備パーツの簡素化など、厳しい状況に立たされているのは間違いないようだ。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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