今こそ見つめ直そう、海外が評価する日本の「おもてなし」

2021年6月6日 17:54

 海外でも認知度が高まっている、日本の「OMOTENASHI(おもてなし)」。おもてなしの歴史は古く、平安・室町時代に発祥した茶の湯にまでさかのぼる。客人や大切な方への気遣いや心配りを第一に考え、その為の努力や苦労を微塵も感じさせない。相手に余計な気遣いをさせないことこそが「おもてなし」の真髄だ。そんな「おもてなし」を海外に発信する試みを紹介したい。

 「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)」が今年も開催された。

 日本の優れた「おもてなし心」あふれる商品やサービスを発掘し、世界に広めることを目的として、2015年に創設されたこのアワードは、民間企業20社以上が参画し、「使い手への心遣い」と「日本以外の国でも通用するか?」の2点を主な選定基準として、日本在住の外国人選定員が認定の評価を行うものだ。受賞商品・サービスは多岐にわたり、おもてなしの心はもちろん、現代のトレンドを盛り込んだものも多い。

 例えば、株式会社enneが販売している「山中塗ステンレスボトル」がその一つだ。

 同商品は、真空二重構造のステンレスボトルに、安土桃山時代から受け継がれている石川県の伝統工芸「山中漆器」の技術がふんだんにあしらわれている。美しい伝統工芸を身近に感じられるプレミアムなステンレスボトルは、ドリンクを飲むひと時を優雅に彩ってくれることだろう。

 一方、最先端の科学技術が盛り込まれているのが、株式会社STAYERホールディングスの「マグネ充電器」だ。同商品は片手で持てる小型サイズのランタン型発電機で、塩水とマグネシウムの化学反応によって発電し、水さえあれば何とスマートフォンを10回分も充電することが可能だ。本体は懐中電灯やランタンとしても使用でき、96時間以上も点灯できる。内蔵のマグネシウム棒を交換することで、繰り返し利用できるので経済的。災害時にも活躍しそうだ。

 また、現代の環境問題に対し、伝統技術で切り込んだ商品も受賞している。住宅メーカー・アキュラホームの「木のストロー」だ。森林の管理で発生する間伐材の有効活用と、環境問題化しているプラスティック問題、双方の解決策として生まれたもので、伝統技術であるカンナ削りの削り華(カンナ屑)を巻き上げて作られた。この「木のストロー」を使用することで、環境問題を想起させる点も評価が高い理由だ。

 この「木のストロー」は、2019年に開催されたG20の全ての会合でも採用されるなど、国際的な認知度も高い。また、使用するだけでなく「木のストロー」を自ら手作りする「制作キット」の販売も開始されたことで、SDGsの観点から、授業で教材として採用する小学校も増えているという。今後の展開にも注目したいところだ。

 海外から高い評価を受ける「おもてなし」の心を、ついつい忘れてしまいがちになるご時世。「おもてなしセレクション」の商品やサービスを見たり、触れたりすることで、日本人らしさの原点とも言うべき「おもてなし」について、今一度見つめ直す機会にしてみてはいかがだろうか。(編集担当:今井慎太郎)

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