生活習慣病の発症リスクを予測、健康診断システムを開発 アクセンチュア
2021年6月3日 09:12
人生100年時代。平均寿命が延びるにつれ人々は健康寿命に強く関心を持つようになった。病気になれば命に関わらなくても様々な日常生活が制約される。特に食事の制限は人生の質を著しく低下させる。また、通院や薬の常時服用によって、個人にとっても国にとっても医療費の負担は相当のものだ。新型コロナの流行によって肥満や糖尿病など生活習慣病が免疫低下や重症化と強く関係することがわかり、これまでにも増して生活習慣病予防の意識は高まっていると想像される。
5月24日、アイルランドに本部を置く総合コンサルタント会社のアクセンチュアの日本法人が国立国際医療研究センターとの共同研究による「生活習慣病予測モデル」を商用化することを発表した。アクセンチュアは国立国際医療研究センターと今年2月から行っている共同研究で開発した生活習慣病発症リスク予測モデルをKDDIの健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」の新機能として追加した。
アクセンチュアは、約12万件の匿名化された健康診断データを活用して予測精度と解釈性を両立させながら国立国際医療研究センターの予防医学研究者の監修のもと脂質異常症、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の発症確率を提示するアルゴリズムを開発中だ。本アプリに組み込まれた機能は、この共同研究の中で開発された予測モデルの一つだ。本アプリの開発は、KDDIとアクセンチュアのジョイントベンチャーであるアライズ・アナリティクスが担当、歩数・体重などの「健康データ」の管理機能や健康データと健康診断・採血検査の結果データを分析し生活習慣病の発症確率を提示する「健康スコア」などの様々な機能が搭載されている。
アクセンチュアのマネジング・ディレクターである保科学世氏は「予防医療における個人の健康データの利活用がますます進展する中、デジタルならではの利便性が組み込まれたリスク予測モデルにより、多くのユーザーの健康管理に寄与することを期待している」と述べている。 生活習慣病の予防には日々の行動チェックが必要だ。日々、自己の健康状態のチェックを行うことは相当の努力が必要だが、今後、このようなAIとビッグデータを活用した利便性の高い自己チェック・アプリが普及することで国民の健康寿命の増進に寄与することが期待されるとともに、さらには国民医療費の削減にもつながるのではないか。(編集担当:久保田雄城)