戦争終結から30年後に生還した男の伝説 『ONODA』2021年秋公開決定

2021年6月2日 17:02

 太平洋戦争終結後約30年間、フィリピンの孤島で生き抜いた実在の人物・小野田寛郎(おのだひろお)。彼の半生を映画化した『ONODA(原題)』が2021年秋日本で公開されることが決定した。

■監督は期待の新鋭、アルチュール・アラリ監督

 監督は1981年7月9日パリに生まれたアルチュール・アラリ。祖父は俳優・演出家、兄は撮影監督といわゆる「芸能家族」だが、その才能は本物だ。長編監督初作品『汚れたダイヤモンド』(2016)はフランス批評家協会賞・新人監督賞のほか多くの映画賞を獲得。社会派作品を得意とする最も実力のある新鋭監督として、注目を集めている。

■約30年に渡る孤独な日々を生き抜いた男を描く

 そんなアルチュール・アラリ監督が今回描くのは小野田寛郎旧陸軍少尉の半生だ。小野田寛郎の名前は知らずとも、太平洋戦争終了から約30年後に日本に帰還した男のニュースは耳にしたことがあるだろう。

 小野田は太平洋戦争終了後も任務解除の命令を受けられないまま、フィリピンのジャングルで壮絶な30年を過ごした。異国の地、必要な物資もない極限の状況下でなぜ孤独に打ち勝つことができたのか?アルチュール・アラリ監督の徹底したリサーチと演出力で、鬼気迫る人間ドラマとして描かれている。

■5国合作でありながら監督のこだわりが光る

 本作はフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の合作だ。しかし全編日本語での演出、さらに全キャストを日本人俳優で固めるという監督のこだわりが光っている。ダブル主演を務めるのは映画・ドラマ・舞台と幅広い活躍をみせる遠藤雄弥(34)と名バイプレイヤーとして活躍する津田寛治(55)。

 壮絶な史実をどのような切り口で物語に落とし込むのか、またキャストはどのように演じるのか。十分に見応えのある作品になることは想像に難くない。太平洋戦争という悲劇を新たな視点から描く『ONODA』。今後の情報が期待される。(記事:中本花・記事一覧を見る

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