日機装は航空宇宙事業の持ち直しにつながる追い風が材料

2021年6月1日 16:33

【注目銘柄】日本インタビュ新聞社

■昨年1月高値奪回を目指す

 日機装<6376>(東1)は、今年3月18日につけた年初来高値1257円に肉薄していた同社株に、目先の利益を確定する売り物が出ていた。ただ1株純資産(PBS)1210円水準では下げ渋っており、今年5月14日に発表した今2021年12月期第1四半期(2021年1月~3月期、1Q)業績が、V字回復し市場コンセンサスを上回ったことを手掛かりに割安株買いが交錯。航空部品の開発・製造で連携実績のあるエアバス社が、5月27日に増産計画を発表したことも、低迷続きだった同社の航空宇宙事業の持ち直しにつながる追い風としてフォローの材料視されている。

■「エアロピュア」が業績を牽引し航空宇宙事業でも工場集約化効果

 同社の今期1Q業績は、売り上げ382億5700万円(前年同期比4.9%増)、営業利益27億2800万円(同2.15倍)、経常利益33億5200万円(同3.37倍)、純利益22億2600万円(同2.03倍)と大きく増益転換し、経常利益は、期初に減益転換と見込んだ今期第2四半期(2021年1月~6月期、2Q)累計業績を10億5200万円、純利益は6億2600万円上回る高利益進捗率となり、市場コンセンサスを13億円~7億円上回った。

 工業部門では、インダストリアル事業、航空宇宙事業とも売り上げが前年同期を下回ったが、海洋環境規制の高まりで船舶向けLNG用ポンプの引き合いが急増し、医療部門では、深紫外線LED照射によりウイルスを不活性化する空間除菌消臭装置「エアロピュア」のシリーズ化を進めて医療機関、公共交通機関、宿泊施設向けなど需要が拡大、売り上げが前年同期比26.4%増、セグメント利益も同2.33倍増となったことなどが要因となった。工業部門のセグメント利益も、航空宇宙事業の2工場を宮崎工場の1工場に集約したことなどから同12.8%増と持ち直した。

 今期2Q累計業績、12月期通期業績は、期初予想を据え置き、このうち12月期通期業績は、売り上げ1840億円(前期比16.1%増)、営業利益105億円(同2.6%増)、経常利益94億円(同3.9%増)、純利益68億円(同3.7%増)と小幅ながら増収増益転換を見込んでいる。ただコロナ・ワクチンの接種とともに世界経済の正常化が進み、エアバス社が増産計画を発表し、米ボーイング社の生産も持ち直しの動きを強めており、前期業績と同様に期中の上方修正を期待させる。

■PERは12倍、PBRは0.9倍と出遅れ昨年1月高値奪回を目指す

 株価は、昨年5月に「エアロピュア」人気でストップ高して1141円まで上値を伸ばし、その後の前期業績の伸び悩みで981円まで調整、今期業績の増益転換予想で年初来高値1257円へリバウンド、この調整安値1073円から、今期1Qの好決算を手掛かりに年初来高値に肉薄している。PERは12倍台、PBRは0.98倍となお割安であり、年初来高値抜けから昨年1月高値1479円奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

関連記事

最新記事