三菱ケミカルHD、KAITEKI価値実現を目指しグローバル展開
2021年6月1日 08:35
三菱ケミカルホールディングス(HD)は5月19日、持続可能な社会の実現に向け、日常生活で持続的な消費を可能とするソリューションを提供する6社を選定し、支援すると発表した。
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気候変動に関するソリューションに取り組む北米最大のインキュベーターGreentown Labs社と共同で、代替たんぱく質、プラスチックリサイクル、食品ロス削減のパッケージングに取り組む企業を募集し、世界35カ国113社の応募企業から選定、今後協業に向けたパートナーシップを深めていく。
三菱ケミカルHDは、2005年三菱化学と三菱ウエルファーマが共同で持株会社を設立したことに始まる。その後統合・再編を経て、現在では三菱化学、三菱樹脂、三菱レーヨンを統合した三菱ケミカル、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併した田辺三菱製薬、グループのヘルスケアソリューション関連事業を統合した生命科学インスティテュート、2020年に持株会社になった日本酸素ホールディングスの主要4子会社を中心に、関係会社666社を擁している。
2021年3月期売上収益は3兆2,575億円。分野別の構成比は、機能化学事業の機能商品分野が31.7%、炭素材事業のケミカルズ分野が26.4%、産業ガス分野が24.9%、医薬品を中心とするヘルスケア分野が12.0%、エンジニアリングや運送などその他分野が5.0%を占めている三菱ケミカルHDの動きを見ていこう。
■前期(2021年3月期)実績と今期見通し
前期売上収益は3兆2,575億円(前年比9.0%減)、コア営業利益は前年よりも201億円減の1,747億円(同10.3%減)であった。
コア営業利益は、事業撤退や縮小から生じる非経常的な損益を除いて算出した経常的な営業利益。
分野別に見たコア営業利益減少の要因としては、MMAモノマーの不振と炭素部門の販売価格下落でケミカルズが156億円、産業ガスが国内外の需要減で29億円、全社費用の増加によりその他が30億円の減益であった。
一方、医薬重点品の販売増と研究開発費の減少によりヘルスケアが14億円の増益であった。
今期は、売上収益3兆6,600億円(同12.4%増)、コア営業利益2,300億円(同31.6%増)を見込んでいる。
■中期経営計画(APTSIS25)による推進戦略
2023年3月期コア営業利益2,500億円(対前期比43.1%増)を目指して、経営基盤、事業基盤強化よる次の戦略を推進する。
●1.経営基盤強化
・次世代事業の開発に向け、オープンイノベーションとデジタルを活用して研究開発体制の効率化。
・総額1,800億円の資産効率化、テレワーク拡大、オフィス集約、ITデジタルによる合理化。
●2.事業基盤強化
・炭素繊維、複合材料など石油化学原料事業のソリューション提供体制強化。
・技術開発、サプライチェーンとの連携でケミカル・マテリアルリサイクル促進。
・顧客、生産基地、物流を結んだDX推進による次世代ガス供給システム開発で、グローバルな産業ガスメジャーポジッション確立。
経済価値と社会価値が両立するKAITEKI価値の実現を目指し、グローバルに展開する三菱ケミカルHDの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)