欧州新車市場、電動車とSUVにけん引され好調 前年比63%増

2021年5月27日 09:31

 EUは新型コロナ感染症のワクチン接種が進んでいるとして2021年の欧州経済下半期の成長率予測を上方修正した。欧州でも順調に経済の正常化が進んでいるようだ。こうした経済状況を背景に自動車市場も持ち直し傾向だが、コロナ前の水準には未だ至ってないようだ。その中でxEVへのシフトなど新しい市場構造へと変わりつつあるようだ。

 5月20日、自動車産業の世界的な調査会社であるJATOの日本法人が「2021年3月欧州新車販売台数速報」を公表している。速報によれば、2021年3月の欧州での新車販売台数は昨年20年3月と比較し63%の大幅な増加となった。欧州26カ国のデータでは昨年の3月が84万2094台、今年3月は137万4313台に増加し、第1四半期では前年比1%増の304万5703台となった。昨年の3月は欧州で新型コロナの大流行でロックダウンが行われた時期であり、3月の大幅な伸びは反動増とも言える。

 四半期でみると1%の伸びでありコロナ前の水準にまでの十分な回復とは言えない。コロナ前の19年3月と比較すると22%の減少となり、リーマンショック後の影響で133万7588台に留まった13年3月以来の最少の水準だ。JATOのグローバルアナリストFelipe Munoz氏は「欧州自動車市場は、コロナ禍前の台数に到達するにはまだ遠く、各国政府は販売を促進し、消費者の信頼を回復するためにさらなる行動を起こす必要がある」と指摘する。

 こうした市場の状況の中で、引き続きxEVとSUVが市場の成長をけん引している模様だ。xEVのシェアは19年3月に3.4%、20年3月は9.7%であったが21年3月は16%と過去最高のシェアを記録した。Munoz氏は「消費者は、以前より広範囲で競争力のある電動モデルに積極的に反応している」と分析している。SUVのシェアも19年3月に37%、20年3月は40%、21年3月45%と堅調に成長を続けている。中でも、スウェーデン、ノルウェー、スロベニア、ハンガリーでのけん引力が顕著のようだ。21年3月のディーゼル車のシェアは24%で、これまでで最も低い数値を記録した。背景には欧州での厳しいCO2規制の導入がある。

 なお、モデル別販売ランキングでは、フォルクスワーゲンのゴルフが前年同月比12%増の2万6265台を記録、首位の座を取り戻した。フォルクスワーゲン・ゴルフのプラグイン・ハイブリッド車およびマイルドハイブリッドがこの成長に貢献したと見られ、ドイツでは同モデルの36%を占めている。(編集担当:久保田雄城)

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