ビジネス中国語のブラッシュアップに最適な日中対訳文書 日本語原文編
2021年5月19日 16:48
ビジネスで使える中国語力を獲得するためには、多聴多読を行い、中国語のブラッシュアップを、倦まず弛まずに続ける必要がある。
【こちらも】中国語学習に最適の無料テキスト! 中国日本商会の『中国経済と日本企業白書』
中国語の多読を行う場合、ただ漠然と中国語文書を読むのでは不十分だ。正確に翻訳された日本語文書と対比し、重要・頻出単語、時事用語に関して、自分が正しい日本語置き換えができているのか、チェックする必要がある。単語だけではなく、よく使う言い回しに関しても、ネイティブらしく表現できているか、確認しながら多読を行うことが、効率的なブラッシュアップにつながる。
2020年12月の記事で、ビジネス中国語のブラッシュアップに最適な日中対訳文書として、中国日本商工会が毎年日中両言語で公表している「中国経済と日本企業白書」の活用方について説明した。
また、JETROが日本語訳している中国の法律法規の対訳文書についても紹介している。
今回は、政策研究大学院大学が東京大学東洋文化研究所と共同で作成しているデータベース、「世界と日本」の活用方法について紹介したい。政策研究大学院大学は、研究者や専門家を受け入れ、政策研究や専門的政策立案者の養成を行っている。
■1、データベース「世界と日本」
当該データベースは、政策研究大学院大学が国際政治基本文書、条約文書、各国の指導者の演説などについて、日中英の3カ国語で整理・保存・公開しているオンライン資料だ。
データは、世界、日本、日中関係などいくつかの大項目に分かれている。ビジネス中国語のブラッシュアップに利用したい文書は、「日中韓」、「日中関係」、「ASEAN」、「G20」などの小項目の中に多く含まれている。この中から、自分が学びたい分野、例えば経済、産業、社会、国際関係などに関わる文書をピックアップして、学習を進めていこう。
■2、具体的な学習の進め方
ここでは下記の文書を使って学習を進めたい。まず日本語と中国語のページをそれぞれ開く。
・世界経済フォーラム年次総会 安倍総理スピーチ-2019年1月23日(日本語)
・世界経済フォーラム年次総会 安倍総理スピーチ-2019年1月23日(中国語訳文)
日本語原文を音読しながら、重要・頻出単語、時事用語、知らない単語に印を付けて、自分なりに訳してみよう。次に中国語訳文をチェックして、正確に訳されていたかどうか確認する。ここでは、日本語原文からピックアップした下記の単語について、正しい中国語に訳せるかテストしてみよう。
1: DFFT(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)
2: AI
3: IoT
4: ロボティクス
5: CCU(炭素吸着とその活用)
6: IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)
7: TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
8: TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)
中国語訳文では下記のように訳されている
1: DFFT(信任的数据自由流通)
2: 人工智能
3: 物联网
4: 机器人
5: CCU(碳捕获与利用)
6: IPCC(联合国政府间气候变化专门委员会)
7: TCFD(气候相关财务信息披露工作组)
8: TPP11(全面与进步跨太平洋伙伴关系协定)
このように、日中文書を対比することで、理解が曖昧な言葉の適訳を確認できる。また、適訳のチェック以外に、「未知語推測訓練」、「スラッシュ・リーディング(Slash Reading)」、「サマライゼーション(Summarization)」などの学習も進めよう。
前述の記事「中国語学習に最適の無料テキスト! 中国日本商会の『中国経済と日本企業白書』」で、学習方法の詳細について紹介している。
日中文書の対比によりビジネス中国語のブラッシュアップを行うときに重要なことは、日本語を原文とする文書と、中国語原文の文書、両方に触れていくことだ。日本と中国では時事用語や頻出単語、トピックなどが異なるからだ。
今回は、日本語原文の日中対訳文書について紹介したが、次回は中国語原文の日中対訳文書とその学習方法について紹介したい。(記事:薄井由・記事一覧を見る)