英語多読初心者でも楽しめるロアルド・ダールの大人向け短編作品
2021年5月19日 09:03
多読の効用は言わずもがなであるが、いざ多読を始めようと思っても、何から読めばよいのかわからないという人は少なくないだろう。以前、「Graded Readers (GR) 」という語彙数を制限した英語多読用シリーズを紹介したことがある。ただ、そういう学習者用の読み物ではなく、かといって児童書でもなく、大人向けに書かれた本で多読したいという人もいるはずだ。そんな人のために、今回はイギリスの小説家、ロアルド・ダール(Roald Dahl、1916~1990)をおすすめしたい。
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■読みやすいロアルド・ダールの英語
ダールと言えばイギリスを代表する小説家で、日本でも『チョコレート工場の秘密』や『マチルダは小さな大天才』などの児童文学がよく知られている。そんなダールだが、実は大人向けの短編もいくつか発表しており、今も十分読むに足るだけの秀作が少なくないのだ。
彼の代表的作品の多くは1950~80年代に書かれている。そのため、文体や用語法には、現在の観点ではやや古いと感じる部分があるのも否めない。たとえば、彼の作品ではしばしば子どもが母親のことを「mummy」と呼ぶが、今のイギリスの大多数の子どもは「Mum」と呼ぶ。会話もややオールドファッションに感じられる部分がある。
とはいえ、古いと言ってもその程度で、大部分は平明な英語で読みやすく、現在の英語学習者にも適したスタイルであり、そのまま真似て使用してもおかしくない。何よりプロットが優れており、皮肉とユーモアが利いた彼の作品は、単純に読んでいておもしろいのである。だから、GRや児童文学を卒業し、初めて大人向けの読み物に進む多読初心者の第1歩として、ダールの作品は(筆者の個人的な意見だが)ふさわしいと考えるのだ。
■短編小説で多読の喜びを知ろう
ダールはその独特な世界観を発揮した児童文学において、今でも世界中の子どもたちに愛されている。ただ、そのファンタジーな世界観と、作中に多く登場する理不尽な大人たちなどの強い個性によって、好き嫌いが分かれる作家とも言えるだろう。
ただ、大人向けの短編には現実の日常を舞台にしたものが多いので、読まず嫌いの人も1度手にとってみてほしい。短いものなら1編わずか数ページと読みやすく、英語の本を英語のまま読む喜びが味わいやすいだろう。
ダールの短編を読むなら、『The Complete Short Stories』(Volume 1 & 2)がおすすめだ。この2冊で彼の大人向け短編をすべてカバーしている。ペーパーバックだけでなく電子書籍版もあるため、気になった人はチェックしてみてはいかがだろうか(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)