ENEOSとトヨタ、Woven Cityでの水素エネルギー利活用の具体的検討を開始

2021年5月16日 16:59

 総合エネルギー産業のトップランナーであるENEOSとトヨタ自動車は、静岡県裾野市でトヨタが建設を進めるWoven City(ウーブン・シティ)での水素エネルギー利活用について具体的な検討を進めることに基本合意したと発表した。

 両社は、トヨタの子会社でソフトウェアを中心にモビリティの開発を担うウーブン・プラネットHDと協働で、水素を「つくる」「運ぶ」「使う」という一連のサプライチェーンに関する実証をWoven Cityおよびその近隣で行なう。そのことで、日本や世界の多くの国が宣言する2050年までのカーボンニュートラル実現への貢献を目指す。

 ENEOSは、4大都市圏において商用水素ステーションを45カ所展開する、水素事業のリーディングカンパニー。また、本格的な水素の大量消費社会を見据えたCO2フリー水素のサプライチェーン構築や水素製造に関する技術開発にも取り組んで、エネルギーの低炭素化を推進している。

 トヨタは、水素を将来の有力なクリーンエネルギーと位置付けており、乗用車から商用車、産業車両、鉄道、船、定置式発電にいたるまでの多様な用途で水素および燃料電池(FC)技術の開発・普及に取り組んでいる。

 このような両社の水素に関する知見を活かし、実証を通じて、Woven Cityにおけるモビリティ、人のくらし、そして街全体のカーボンニュートラルを目指し、水素を身近に感じながら、豊かさと持続可能性が両立する社会の実現にチャレンジする。

 具体的に両社は以下4項目における具体的な検討を進める。ENEOSによるWoven City近隣での水素ステーションの建設・運営。この水素ステーションに設置した水電解装置にて再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を製造し、Woven Cityに供給する。また、トヨタは定置式FC発電機をWoven City内に設置し、グリーン水素を使用して発電する。Woven Cityおよびその近隣における物流車両のFC化の推進とFC車両を中心とした水素需要の原単位の検証およびその需給管理システムの構築を行なうとしている。

Woven Cityの敷地内に設置予定の実証拠点における水素供給に関する先端技術研究を実施する。なお、ウーブン・プラネットHDは、トヨタとともにWoven Cityの企画を進める。

 トヨタの豊田章男社長は、「日本を代表する『総合エネルギー企業』として水素の製造から販売まで一貫して取り組まれているENEOSをコアパートナーに迎え、Woven Cityでの水素社会実証を行えることを大変心強く思います。水素社会の実現に向けては、個々の技術の進化に加えて、『つくる』『運ぶ』『使う』というすべてのプロセスをつなげて取り組むことが欠かせません。今後ENEOSと一緒に、Woven Cityというリアルな場で『ヒト中心』に、地域とともに、水素を使った暮らしのあり方や技術を検証し、その原単位を日本全国や世界に展開できるよう、取り組んでまいります」と述べたという。

 富士山麓に建設するWoven Cityは、住む人の生活を想像しながら取り組む「ヒト中心の街」と定義されている。水素をはじめとする新たな領域の技術をリアルな場で実証する「実証実験の街」であり、いつまでも成長し続く「未完成の街」として、ENEOSをはじめとする世界中の多彩な企業、研究者と一緒に、幸せあふれる街づくりに取り組むとしている。(編集担当:吉田恒)

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