1~4月の小規模倒産は減少 国や自治体の支援策浸透で 東京商工リサーチ調査
2021年5月16日 08:48
東京商工リサーチの調査によると、2021年1~4月における負債1,000万円未満の小規模企業の倒産件数は、減少したことが分かった。ただし新型コロナウイルスの影響が長引いており、今後の見通しは不透明だ。
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■2年ぶりに前期比マイナス
13日、東京商工リサーチが2021年1~4月における「負債1,000万円未満の倒産」に関する調査結果を発表した。同時期における負債1,000万円未満の企業の倒産件数は157件で、前年同時期の191件から34件(17.8%)減となり、2年ぶりにマイナスとなった。
また150件台の倒産件数は17年の159件までさかのぼる低い水準だった。月別では1月:33件(前年比:13件減)、2月:34件(同4件減)、3月:53件(同4件増)、4月:37件(同20件減)と、3月のみ微増ながら他の月は減少した。
国や自治体、金融機関が行う資金繰りの支援策が、小規模な企業や事業者にも浸透してきつつあることが、倒産件数を抑える要因となった。
■生活関連サービス業と娯楽業が増加
産業別で最も倒産件数が多かったのはサービス業他で、前年同期比13件減の76件。以下、建設業が21件(前年同期比:5件減)、小売業が18件(同4件減)、卸売業が13件(同2件減)、情報通信業が10件(同9件減)、製造業が7件(同4件減)、運輸業が6件(前年変わらず)、不動産業が3件(前年変わらず)、農・林・漁・鉱業が2件(同2件増)、金融保険業が1件(同1件増)。6業種で前年から減少、2業種で増加、2業種で前年と同数だった。
最も倒産件数が多かったサービス業の中では、葬儀業(2件)や劇団(2件)など生活関連サービス業と娯楽業が前年の17件から22件に増加した一方、飲食業は18件(前年同期比:7件減)、宿泊業は1件(同2件減)と減少している。
■倒産の原因は「販売不振」が最多の114件
倒産に至った原因で最も多かったのは「販売不振」の114件。その他では「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が11件、「代表者の死亡・病気」などを含めた「その他」が11件、「他社倒産の余波」が9件、「事業上の失敗」が4件、「運転資金の欠乏」が4件などとなっている。
また倒産の形態別で最も多かったのは「破産」で153件。「民事再生法」と「取引停止処分」はそれぞれ2件発生した。負債1,000万円未満で倒産した企業や事業者の経営規模は小規模や零細なものが大半を占めることから、後継者不足などを含めて先行きの不透明さにより事業継続を断念して「破産」を選択する企業が多いという。
今後については、新型コロナウイルスの影響が長引きつつあることで、業績回復が遅れるにつれて経営体力に余力の小さい小規模な企業や事業者の先行きに不透明感が強まることから、「推移が注目される」としている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)