顔認証決済の自販機、財布やスマホ不要 マスク着用可 ダイドードリンコが運用開始

2021年5月5日 17:25

 2017年から中国で顔認証による無人コンビニの開店ブームがあった。期待されたほど利用率が伸びずその後に多くの店舗が閉店したようだ。しかし、2020年になって新型コロナ感染症の流行で他人との接触を回避する無人コンビニの利用が増え始めたという。日本でも2018年よりコンビニ各社が顔認証・レジ無しの実験店舗をオープンしたが、今のところ大きな普及には至っていない。

 国内の顔認証技術を用いた決済サービスに関しては、4月26日、ダイドードリンコが自動販売機での顔認証決済サービス「KAO-NE(カオ-ネ)」の本展開を開始したことを発表した。ダイドードリンコは、昨年NECと共同で実施した実証実験の結果を踏まえ、顔認証による購入が可能となる顔認証決済サービス「KAO-NE」(カオーネ)を用いた自動販売機の本展開を4月26日から開始した。これはNECの顔認証技術を活用して日本で初めて自販機に顔認証決済サービスを導入し「手ぶら」で飲料を購入できる仕組みを実現したものだ。

 ダイドードリンコは、昨年実施された実証実験において「財布やスマホを出さずに購入できることが、想像以上に便利だった」などという評価を得て顧客の快適な購入体験に貢献できると判断、一方で「マスクをしたままで買えるとさらに良い」、「認証までの時間が少し長い」などの課題も明らかとなった。そこで本展開までに、顔認証の精度やスピードの向上、マスクを着用したままでの認証を可能にするなどの仕様へと改善された。

 自動販売機の利用者は、スマートフォンやタブレット等の端末を用いて事前に顔画像やクレジットカード情報、パスコードを登録すれば、自動販売機での購入時に顔認証とパスコードの2要素認証により簡単かつセキュアに決済が可能となる。また、食品工場や薬品工業等のマスク着用が必須のロケーションの顧客からのニーズやコロナ禍での新たな生活様式にも対応できるよう、マスク着用での認証も可能とした。

 今後の展望としては2000台の設置を目標としているが、現在の主な設置場所はダイドードリンコ大阪本社、同東京本部、大同薬品工業関東工場、NEC本社などとされている。ダイドードリンコでは「今後も2030年までの長期ビジョン『グループミッション2030』のもと、自販機ビジネスをもっと身近で毎日の生活に役立つビジネスへ進化させるという基本方針に基づき、自販機のイノベーションを推進してゆく」としている。(編集担当:久保田雄城)

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