ANA、21年3月期は過去最大の大幅赤字 22年3月期は黒字回復見込み
2021年5月4日 08:37
■売上高は前期比63%減、最終赤字は4046億円
ANAホールディングス(9202・ANA)は4月30日大引後、21年3月期通期連結決算を発表した。コロナ禍による旅行客の激減により、売上高は前期比63.1%減の7287億円、営業損益は4648億円の赤字(前期は608億円の黒字)、純損益は4046億円の赤字(同277億円の黒字)となった。通期の赤字額としては過去最大となった。尚、当初最終赤字は5100億円を見込んでいたが、決算発表直前で上方修正している。
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2020年2月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大から国際線需要が激減しており、国内における緊急事態宣言発出によって国内線需要も減少。外部要因によって事業運営が大幅に制限される格好となった。
■国際線売上は93%減、国内線売上は70%減
旅客部門は散々な結果だった。国内線では前期比70.1%減の2031億円、国際線では同92.7%減の447億円と、これまで国際線需要を中心に業績を伸ばしてきたANAにとっては、大きな経営ダメージとなった。Peach等の格安航空部門(LCC部門)は、路線運休等の影響で同73.1%減の220億円と厳しい1年となった。
一方で、貨物部門が業績を牽引した。国際線の運航が厳しい中、貨物に力を入れ、大型貨物機の就航もあり、国際線貨物売上は前期比56.3%増の1605億円に増加。コロナ禍において貨物重量が減少したものの、貨物単価上昇があり業績の後押しをした。
コロナワクチンの輸送においても重要な輸送部隊として活躍しており、4月以降に本格稼働する国内ワクチン摂取に向けて、引き続き尽力する見込みだ。
■事業構造改革で22年3月期は黒字回復
引き続きコロナ感染症の影響が根強く続く中、22年3月期は黒字回復を見込む。売上高は前期比89.4%増の1兆3800億円、営業利益は280億円の黒字、最終利益は35億円の黒字を予想した。航空機利用者需要の回復を前提としたものだが、コストマネジメントによる固定費圧縮によって黒字化を目指すものだ。
足元では、20年10月に劣後ローン4000億円の調達を行っており、公募増資実施によって債務超過転落を免れる公算。ANAが輸送するコロナワクチンの効果によっては経営を左右するという現状としては、コロナ収束をどの企業よりも望んでいるのがANAであると言えよう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る)