景気回復、半導体関連や自動車関連など製造・卸売中心に上向き傾向 51中47業種で回復
2021年4月28日 08:34
2018年秋から日本経済は景気後退局面に入った。当初は内需が好調で、また東京五輪もあり早期の持ち直しが期待されていたが、20年当初からの新型コロナ流行の影響で五輪も延期となるなど景気回復は当初の見込みより大幅に遅れている。しかし、このところ中国経済の早期回復などに伴い製造業を中心に持ち直し傾向となっている。
4月5日、帝国データバンクが「TDB景気動向調査-3月分」の結果レポートを公表している。これによれば、21年3月の景気DIは38.0、前月比2.2ポイントのプラスで2カ月連続のプラスとなった。DIは50が景気の良し悪しの閾値なので依然国内景気は低水準とは言うものの、最低を記録した20年5月の25.2と比べ大幅に改善している。20年11月に35.4まで回復したものの21年1月には再び33.9と下降したが、2月には35.8と再び上昇トレンドに転じた。
今後の見通しについては、ワクチン接種の開始による経済活動の正常化に向けた動き、テレワーク関連や自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の拡大などで緩やかな上向き傾向が続き、1年後の22年3月のDIは46.5と見込まれている。
業界別には、全業界の51業種中47業種がプラスで、半導体関連や自動車関連など「製造」、「卸売」を中心に上向き傾向が続いている。「製造業」のDIは38.5で前月比2.9ポイント増、全12業種でプラスだ。特に自動車部品などの「輸送用機械・器具製造」や半導体製造装置など「機械製造」が大幅に上昇、「化学品製造」はプラスチックやゴムなどの中国向け輸出が堅調となっている。一方で世界的な半導体不足や原材料価格の高騰がマイナス要因だ。
「サービス」DIは38.5で前月比2.0ポイント増。「旅館・ホテル」が同6.5、「飲食店」が同6.1ポイントの増など個人向けサービスも低水準ながら大きく上向いた。「情報サービス」ではIT投資が堅調など、「サービス」では15業種中14業種でプラスとなった。「小売」DIは34.9、前月比0.4ポイントの小幅改善。「繊維・繊維製品・服飾品」が持ち直したものの「家電・情報機器」、「医薬品・日用雑貨」が不調となった。「不動産」DIは40.6で1年1カ月ぶりに40を上回った。郊外における住宅需要の高まりが継続し、建物売買や土地売買が堅調に推移した。業種・業態により温度差はあるものの、「農林水産」から「サービス」まで全業界で2カ月連続の上向きと判断されている。(編集担当:久保田雄城)