中国向け輸出、半導体製造装置など持続的拡大 中国経済回復で製造業に復調の兆し
2021年3月25日 08:15
コロナ禍の経済停滞が続いている。世界の経済停滞は当初の見込みより軽いものであったと言われ、また、早期のワクチン開発、接種開始で世界経済の明るい見通しも出始めている。現在注目されているのは中国経済の早期回復で、既にコロナ以前の水準まで回復しており、当面は中国経済が世界の景気回復を牽引すると見込まれている。
2月の日本の貿易統計で輸出動向を見ると、世界全体としては前年同月比マイナスで推移しているものの、中国向けは昨年7月から8カ月連続の前年比プラスで推移しており、製造業を中心に回復基調の動きとなっている。
3月17日に財務省が公表した「2月分貿易統計(速報)の概要」によれば、輸出は自動車、鉱物性燃料等が減少し6兆380億円、前年同月比4.5%の減少となっている。一方、輸入では通信機、衣類・同付属品等が増加し5兆8206億円、11.8%の増加となっており、その結果、差引額は2174億円のプラスで2カ月ぶりの黒字となった。
地域別には米国向けの輸出が1兆922億円で前年同月比14.0%の減少、輸入は6196億円、3.7%の減少で4727億円の黒字だ。輸出では自動車、航空機類などが減少し、輸入では液化天然ガスが大きく増加し、航空機類が減少している。EU向けでは輸出が5892億円で3.3%の減少、輸入が6294億円で0.4%の増加で差し引き402億円の赤字だ。アジア向けは輸出が3兆3440億円、0.8%の減少、輸入が2兆9389億円、36.9%の増加、差し引き4051億円で10カ月連続の黒字だ。アジア向け輸出は全体で僅かに減少となったものの、半導体製造装置が18.4%増加、プラスチック14.8%増加と製造業に復調の兆しが見られる。
中国向けでは、輸出が1兆1743億円で3.4%の増加、輸入が1兆4459億円で114.5%の増加、差し引きマイナス2716億円で12カ月連続の赤字だ。中国向け輸出については昨年7月の8.2%増加以来、8カ月連続の増加で、輸出金額もコロナ以前の水準に回復していると言える。輸出で増加品目を見ると、半導体製造装置が32.7%増、非鉄金属が41.2%増、プラスチックが21.4%と大幅な伸びを示しており、他の指標からも指摘される製造業復調の兆しを裏付ける動きとなっている。輸入では通信機が104.4%増、電算機類93.2%増など、テレワーク関連その他のIT投資等で内需回復の兆しも見てとれる。中国経済の回復が日本の景気回復にプラスに作用していることは間違いない。(編集担当:久保田雄城)