就活意識、コロナ禍で変化 「興味分野の仕事」減少、「安定雇用」を重視へ
2021年3月10日 07:18
コロナ禍が続いている。感染症対策にともない経済活動は大きく影響を受け、コロナ禍で打撃を受けた業種、影響を受けなかった業種、むしろ業績を伸ばしている業種など産業の風景も一変した。こうした中、就活生の意識にも変化が見られ、志望業界の選定に当たっても「興味のある分野の仕事」から「安定雇用や成長」など、より生活の安定と成長を重視する傾向が出てきたようだ。
就活情報メディアを運営するシナジーキャリアが2月に自社の公式LINE登録者144名を対象に「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う志望企業への影響に関するアンケート調査」を実施、同月26日にその結果レポートを公表している。調査結果によると、「新型コロナ流行前と流行後で志望業界は変わったか」という問いに対して、「はい」と答えた者の割合は25.7%、「いいえ」は74.3%となっており、4人に1人が新型コロナの影響で志望業界を再検討したようだ。
変わった理由を自由回答で聞いたものの中には、「会社の将来性を最優先で考えるようになったから。多少の経済状況に左右されない安定した基盤を持った大手企業又は事業の成長性が見込める業界で考えるようになった」と言うものも存在し、コロナ禍での経済打撃が業界選定に影響を与えているようだ。「変わった」と答えた者の「コロナ前」と「後」の志望業界を見ると、「前」では「航空・旅行・ホテル」が最多となっており、「後」では「航空・旅行・ホテル」は減少し、「IT、情報通信」、「メーカー」が増加している。やはりコロナの業界への影響が志望先の再検討につながっているようだ。
「会社に求めるものは何か」をコロナ前と後で比較すると、「前」では「興味のある分野で仕事をすること」が45.8%と半数近く占めていたものが、「後」では29.2%となり、16.6ポイントの大幅な減少だ。一方、「成長できる環境」が前11.8%から後13.9%、「ワークライフバランスが実現しやすいこと」が前9.7%から後13.9%と増加している。また、最も増加が目立ったのは「長期に渡る安定した雇用機会があること」で、「前」はわずか3.5%であったものが、「後」では7.6%と倍以上に増えて順位も上昇している。レポートではコロナ禍で「リモートワークを導入する企業が増えたことから『柔軟な勤務』を求める学生も増えた」とも指摘しており、新型コロナの流行が就活生の意識を大きく変えているようだ。(編集担当:久保田雄城)