トレジャー・ファクトリーは戻り試す、21年2月の既存店売上は前年比プラス
2021年3月9日 08:30
トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップを展開している。21年2月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益予想だが、第1四半期をボトムとして回復基調である。21年2月の既存店売上は4カ月ぶりに前年比プラスに転じた。そして半期ベースで見ると上期90.7%に対して、下期100.1%と回復基調である。22年2月期の収益回復を期待したい。株価は安値圏でのモミ合いから上放れの形となった。戻りを試す展開を期待したい。なお4月14日に21年2月期決算発表を予定している。
■リユースショップを展開
総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力とするリユースショップを、首都圏直営店中心に展開している。収益面では第2四半期(6~8月)の構成比が小さい季節特性がある。
20年2月末時点の店舗数は、グループ合計192店舗(タイの3店舗を含むトレジャー・ファクトリー65店舗、トレファクスタイル53店舗、トレファクスポーツ5店舗、ユーズレット7店舗、ブランドコレクト3店舗、トレファクマーケット1店舗、カインドオル41店舗、ゴルフキッズ17店舗)である。
■リユース事業の成長と周辺・新規事業への投資を推進
中期成長戦略として、リユース事業の成長(大都市圏中心に複数業態を組み合わせて年間10~20店舗の新規出店、採用・教育・在庫・物件開発など多店舗展開力の強化、リアル店舗とオンラインサービスの会員共通化をベースとしたリアル店舗・EC販売・宅配買取などの相互利用)、海外市場での成長(タイ3店舗の収益化、他国への展開)、リユース周辺事業・新規事業への投資(引越事業のトレファク引越、BtoBオークション事業のトレファク、ECドレスレンタル事業のCariru、不動産仲介事業のトレファク不動産)を推進している。
19年1月にシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携した。20年10月には総合不動産会社のビーロットと業務提携、静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。
21年1月には台湾に現地法人を設立(21年4月予定)すると発表した。タイに続いて海外展開を推進する。またSDGsの一環としてプロサッカークラブ「FC東京」とクラブスポンサー契約を締結した。
■21年2月期は新型コロナ影響だが22年2月期回復期待
21年2月期の連結業績予想(期初時点では未定、10月13日に公表)は、売上高が20年2月期比4.3%減の183億08百万円、営業利益が88.2%減の1億11百万円、経常利益が84.0%減の1億59百万円、当期純利益が99.0%減の5百万円としている。配当予想は7円減配の10円(第2四半期末2円、期末8円)である
第3四半期累計は、売上高が前年同期比4.5%減の134億28百万円、営業利益が99.9%減の1百万円、経常利益が91.8%減の62百万円、四半期純利益が75百万円の赤字(前年同期は5億27百万円の黒字)だった。第1四半期に新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言で店舗臨時休業・営業時間短縮の影響を受けたため、累計ベースで減収減益だった。
ただし四半期別に見ると、第1四半期は売上高が39億59百万円で営業利益が2億21百万円の赤字、第2四半期は売上高が44億17百万円で営業利益が41百万円の赤字、第3四半期は売上高が50億51百万円で営業利益が2億64百万円の黒字だった。緊急事態宣言発令で大きな影響を受けた第1四半期をボトムとして回復基調である。
季節要因で利益の出やすい第1四半期に新型コロナウイルスの影響を大きく受けたため通期減収減益予想だが、第1四半期をボトムとして回復基調であり、第3四半期に営業利益2億64百万円を計上していることを考慮すれば、通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。さらに楽器や酒類など取り扱いジャンルの強化、オークション事業の強化も推進している。22年2月期の収益回復を期待したい。
月次売上(単体直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、21年2月は全店104.1%、既存店100.6%だった。既存店売上は4カ月ぶりに前年比プラスに転じた。気温上昇で衣料の販売が復調した。またブランド品が好調に転じ、家具、スポーツ・アウトドア用品、ホビー用品も順調だった。
なお半期ベースで見ると上期の全店94.0%、既存店90.7%に対して、下期は全店103.7%、既存店100.1%と回復基調である。通期ベースで見ると全店99.0%、既存店95.5%となった。また出退店は通期ベースで新規出店6店舗、退店1店舗となった。
■株主優待制度は2月末の株主対象
株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価はモミ合い上放れ
1月13日発表の自己株式取得(上限15万株・1億円、取得期間は1月28日に延長を発表して21年1月14日~21年2月12日)については、2月12日時点で累計10万3100株を取得して終了した。
株価は水準を切り上げて安値圏でのモミ合いから上放れの形となった。戻りを試す展開を期待したい。3月8日の終値は878円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS44銭で算出)は約1995倍、前期推定配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS407円13銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約102億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)