死語になった自動車用語「三角窓」
2021年2月23日 16:51
●室内換気のための可動式窓
「三角窓は未だいろんな車種に装備されている」との反論が聞こえて来るが、ここではエアコンが普及する以前、室内換気のために活躍した昔の開閉式の窓の話となる。
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今では年中窓は閉めたままの車が殆どだが、エアコンが普及する以前は、夏場には窓を開閉して風を取り込んで暑さを凌いだ。その際に効果的だった三角形の、開閉可能な窓の事を指している。(写真1参考)
因みに、通常は後部ドアの下部にはホイールアーチがあり、窓の高さ全てが収まらないので、三角形にガラスが残る設計が多いが、この部分は単なる嵌め殺しで、開閉機能は無いのが通例である。
●車のピラーの名称
車検証に「箱型」と記載される、一般的なセダンの場合、フロントウィンドウを保持している柱をAピラー、ボディの中央で後部ドアを保持し、前部ドアのキャッチ機構を担う柱をBピラー、リヤウィンドウを保持する柱をCピラーと呼ぶ。なおピラーの名称は、アルファベット順に前から並んでおり、Aピラー、Bピラー、Cピラー・・と続く。
●最近の車にある三角形の窓
最近の車は、フロントウィンドウスクリーンが寝ている傾向が顕著になっている。
通常、普通サイズの車の場合は、車室空間が十分取れるため、フロントドアには台形をした窓ガラスが装着されており、Aピラー下部がフロントドアの前端とほぼ同じ位置にある。
従って、フロントドアには普通の窓ガラスが装着されていても問題無いが、コンパクトカーの場合は室内空間が相対的に狭いため、圧迫感を避ける意味でも、出来るだけフロントガラスも前の方に設置したい。
そこで、前方に三角形の「嵌め殺し」の窓を設けた上で、ドアはAピラーよりも後方から開口部を設ける。(写真2参考)
現代の「三角形状の窓」は、昔の「三角窓」とは全くの別物で、フロントピラー部分の視界確保のために設けられたものである。
●現在の車の換気と空調
一昔前の冷房装置は「クーラー」だったが、現在では殆どの車にはエアコンが装備されている。
「クーラー」が単に冷気を吹き出すだけの機能であるのに対し、「エアコン」は文字通り「エアーコンディショナー」つまり空調機である。
エアコンには「外気導入モード」と「室内循環モード」が設けられている。
筆者の場合は、フルオートエアコン装着車であるが、冷暖房の効率よりも常に新鮮な外気を導入するために昔から「外気導入モード」としてマニュアル操作をしている。
「室内循環モード」に切り替えるのは長いトンネルで大型車の後ろに追尾したり、渋滞した場面で、前の車の排気ガスが車内に入り込むのを避ける時だけだ。
特に夏場の冷房時期には、「外気導入モード」にすると、折角冷やした空気に外気が混入して、冷房効率が落ちるとの反対意見もあるが、COVID-19対策には、換気が効率的であるとされている。
●昔の三角窓の機能
昔の一般的な三角窓は、三角形のガラスの中央部分上下に支点を設けて、走行中に外気を取り入れるには、前方の三角形をした先端部分を外側に向ければ効果てきめんだった。
軽自動車で、コストダウンが必要な車種では、三角窓の後方の長辺にヒンジが設けられ、先端部分を外側に向けて外気を取り込む様にしたものもあった。
●昔の泥棒は良心的だった?
昔の車上狙いは、大体この三角窓を壊して解錠し、車内を物色した。
被害車両も、ドアキーシリンダーを壊されたり、窓ガラスを割られたりすると、修理費用が高額になったが、車室内に貴重品を残していない限りは、被害も「比較的軽微」で済んだ。
最近の車はイモビライザーとかの、盗難対策が充実しているが、車外から見える場所にバッグ等を放置していると、ガラスを割って持って行かれる。そうなると修理代も結構な額になってしまうため、貴重品は車室内に放置しない事だ。
目につかない様に、トランクに収めるだけでも効果がある。
●炎天下に駐車後の室内換気
これから暑くなれば、車室内の温度が高く、スタート直後は窓ガラスを開けて換気するのが効率的だ。
運転席と、対角線側の後部ドアガラスを開けるのが効果的だ。
現代の車で、コンパクトカー前方の嵌め殺しの三角窓が開ける事が出来るなら、熱気を追い出すには効率的だから、電動にした三角窓が「死語の世界」から復活してくれればと思ったりする。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)