DXでデータ量が急増 データ・マネジメント市場、データ準備製品が牽引し180億円市場に

2021年2月17日 08:41

 2020年10月の所信表明で菅義偉首相は「各省庁や自治体の縦割りを打破し、行政のデジタル化を進めます。」とDXが政権の最重要課題であることを表明した。こうした国を挙げたDX化の流れに加え従来から民間で推進されているIoT化やクラウド化の中で企業が取り扱うデータ量は急膨張している。企業のデータ構造の自社への適応などデータ・マネジメントの重要性はますます高まり、これに付随するシステムやサービスへの需要は拡大傾向で推移して行くであろう。

 2月4日、ITコンサルティング業の大手、ITR(アイ・ティ・アール)が今後急速に成長するであろうと予想される「国内のデータ・マネジメント市場の規模の推移および予測」についてレポートを公表した。レポートによれば、19年度の国内データ・マネジメント市場の規模は売上ベースで89億円、前年度比11.3%の増加と推計されている。20年度はこれを上回り、前年度比16.3%増とふた桁の高い伸びを見込んでいる。

 近年、企業のDX投資は活発であり、その中でデータのクラウド移行も徐々に進んでいることなどから、企業内のデータは急速に増大かつ多様化の一途をたどっており、データ・マネジメント高度化へのニーズは着実に高まりをみせている。このような経緯でデータは経営戦略の決定を支える資産として、その重要性がますます高まっている。

 データ・マネジメントとは、データを活用するためにデータの加工、前処理、クレンジングおよびメタデータ管理を行う製品群で、ETL(Extract、Transform、Load)、データ・プレパレーション、データ・カタログ、データ・クレンジング製品などが含まれる。また、データの品質管理や信頼性の維持など、データ運用のための総合的な管理を含む。こうした製品サービスは、今後急速に需要を伸ばし、レポートでは、19から24年度のCAGR(年平均成長率)を15.1%と予測、24年度には180億円に達すると見込んでいる。

 ITRのリサーチ・フェロー平井 明夫氏は、「(データ・マネジメント市場の成長は)従来のETLに加えて、データ・サイエンティストを対象ユーザーとするデータ・プレパレーションの需要が急速に拡大したことによるもの」「今後は、データレイクやデータ統合に必要なデータ・カタログの需要拡大によるさらなる成長が見込まれる」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)

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